やさしい因数分解③:かけて足すパターンの公式解説

中3

前回は、因数分解の基本として「共通因数でくくる」パターンを解説しました。

前回はこちら
やさしい因数分解②:共通因数でくくる基本の型

今回は、いよいよ “因数分解らしい形” にステップアップします!
今回、取り上げるのは

\(x^2+(a+b)x+ab\)

という形の因数分解。
「かけて○、足して○になる2つの数」を見つけるのがポイントですが、ステップさえわかれば誰でもできます!

このページでは、公式の説明、解き方

  • 公式の考え方
  • 解き方の手順
  • 効率的に解くコツ

を、例題と練習問題を交えて解説していきます。

公式の使い方

今回使う公式はこちら:

\(x^2+(a+b)x+ab=(x+a)(x+b)\)

左辺の特徴:

  • 定数項:\(ab\)
    右辺のかっこの中の2数をかけたもの
  • \(xの係数:a+b\)
    かっこの中の2数を足したもの

つまり、「かけて定数項、足してxの係数になる2つの数」を見つけたら、すぐに因数分解できるというわけです。

具体的には、次のステップを踏んで\(a、b\)のペアを見つけてください。

\(x^2+(a+b)x+ab\)の因数分解3ステップ
  1. 定数項の因数の組み合わせを書きだす。
  2. その中から、足すと\(x\)の係数になるペアを探す。
  3. 公式に当てはめて因数分解する。
なぜ「定数項から」見るの?

それは、かけて○になる組み合わせの方が数が少なく、先に絞り込みやすいからです。
これは第 1 回でもお話した「パターンの少ないところから絞る」考え方と同じです。

例で確認してみましょう

\(x^2-4x+3\)の因数分解を考えます。

ステップ1:定数項の因数
定数項は 3
→\((1,3)、(-1,-3)\)

ステップ2:\(x\)の係数は-4
→妥当な組み合わせは、\((-1,-3)\)

ステップ3:公式に当てはめる
\(x^2-4x+3=(x-1)(x-3)\)

例題

例題1:\(x^2+6x+8\)

  • 定数項が 8、因数の組み合わせは、
    (1, 8)、(2, 4)、(-1,-8)、(-2,-4)
  • \(x\)の係数は 6、妥当な組み合わせは
    (2, 4)

  公式に当てはめて次のように因数分解できる。

  \(x^2+6x+8=(x+2)(x+4)\)


例題2:\(x^2+x-12\)

  • 定数項が12、因数の組み合わせは、
    (1,-12)、(2,-6)、(3,-4)、(4,-3)、(6,-2)、(12,-1)
  • \(x\)の係数は 1、妥当な組み合わせは
    (4,-3)

  公式に当てはめて次のように因数分解できる。

  \(x^2-x-12=(x+3)(x-4)\)


例題3:\(x^2+8x-48\)

  • 定数項が48、因数の組み合わせは、
    (1,-48)、(2,-24)、(3,-16)、(4,-12)、(6,-8)、
    (8,-6)、(12,-4)、(16,-3)、(24,-2)、(48,-1)
  • \(x\)の係数は 8、妥当な組み合わせは
    (12,-4)

  公式に当てはめて次のように因数分解できる。

  \(x^2+8x-48=(x+12)(x-4)\)

効率よく解くコツ

例題3のように、定数項が大きくなると、候補が多くなって大変です。
そんなときは、\(x\)の係数をヒントにすると効率アップ!

たとえば、例題3の場合\(x\)の係数が「8」であるため、
差が大きい組((1,-48)、(2,-24) など)は候補から外してOKです。
逆に差が小さい(6,-8)なども候補から外してOKです。

このように、慣れてきたら、\(x\)の係数から逆算して候補を絞る練習もしていきましょう。

演習と解説

演習1:\(x^2-7x+10\)

解答はこちら
  • 定数項が 10、因数の組み合わせは、
    \((1,10)、(2,5)、(-1,-10)、(-2,-5)\)
  • \(x\)の係数は7、妥当な組み合わせは
    \((-2,-5)\)

  \(x^2-7x+10=(x-2)(x-5)\)


演習2:\(x^2-3x-18\)

解答はこちら
  • 定数項が18、因数の組み合わせは、
    \((1,-18)、(2,-9)、(3,-6)、(6,-3)、(9,-2)、(18,-1)\)
  • \(x\)の係数は3、妥当な組み合わせは
    \((3,-6)\)

  \(x^2-3x-18=(x+6)(x-3)\)


演習3:\(x^2+13x-48\)

解答はこちら
  • 定数項が48、因数の組み合わせは、
    \((1,-48)、(2,-24)、(3,-16)、(4,-12)、(6,-8)、\)
    \((8,-6)、(12,-4)、(16,-3)、(24,-2)、(48,-1)\)
  • \(x\)の係数は 13、妥当な組み合わせは
    \((16,-3)\)

  \(x^2+13x-48=(x+3)(x-16)\)

終わりに

今回は、因数分解の中心となる公式

\(x^2+(a+b)x+ab=(x+a)(x+b)\)

について解説しました。
手順さえ覚えれば、むずかしい問題もスラスラ解けるようになります。

次回は、2乗の形になっているパターン(公式③・④)を解説します。
どんどんステップアップしていきましょう!

次回はこちら
やさしい因数分解④2乗の形を見抜くコツ

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