「因数分解って、なんだかとっつきにくい…」
そう感じたことはないですか?
でも大丈夫。
この記事では、因数分解の意味、目的、基本公式の全体像について、展開とのつながりからやさしく整理していきます。
因数分解って何?
因数とは
数や式をかけ算の形に直したときの要素のことです。たとえば、
- \(8=4 \times 2\)
→\(2\)と\(4\)は\(8\)の因数 - \((x+1)(x-4)\)
→\(x+1\)と\(x-4\)が因数
因数分解とは
多項式(たくさんの項からなる式)を、かけ算の形に直すことです。
つまり、因数分解とは「足し算・引き算がある式をかけ算だけの形に変える操作」のことを言います。
因数分解って何のためにするの?
「式が見通しやすくなる」
これが一番大きな理由です。
比べてみるとよくわかります。
足して6になる整数の組み合わせ:
(1, 5), (2, 4), (3, 3), (6, 0), (7,−1), (8,−2) …
→ いくらでもある!
かけて6になる組み合わせ:
(1, 6), (2, 3), (−1,−6), (−2,−3)
→ 限られている!
このように、かけ算の方が検討するパターンが限られているのです。
そのため、因数分解をして式をかけ算の形に直すと、検討するパターンを整理することができるのです。
何でも1つ1つ調べるのではなく、「パターンを整理」してから考える
これは数学だけでなく、日常生活の問題解決でも大事な考え方です。
数学において、そのための手段の1つが因数分解なのです。
このあとすぐに習う2次方程式でも因数分解は必須のテクニックですよ。
基本公式の全体像
因数分解は、実は展開の“逆”操作です。
▼ 展開の公式(全部で5つ)
- \(m(a+b)=ma+mb\)
- \((x+a)(x+b)=x^2+(a+b)x+ab\)
- \((x+a)^2=x^2+2ax+a^2\)
- \((x-a)^2=x^2-2ax+a^2\)
- \((x+a)(x-a)=x^2-a^2\)
▼ 因数分解の公式(展開の逆)
- \(ma+mb=m(a+b)\)
- \(x^2+(a+b)x+ab=(x+a)(x+b)\)
- \(x^2+2ax+a^2=(x+a)^2\)
- \(x^2-2ax+a^2=(x-a)^2\)
- \(x^2-a^2=(x+a)(x-a)\)
つまり、展開した式をもとの形に戻すのが因数分解!
展開結果の形が式にあれば、「この公式が使える!」と見抜けるようになります。
面積や速さの公式は、図やイメージでなんとなく考えられます。
でも因数分解は公式以外に解く方法がなく、「この形ならこの公式」という“判断力”が必要です。
だから、公式を整理して覚えることがとても大切なんです。
終わりに
今回は、因数分解の意味、目的、基本公式の全体像について整理しました。因数分解は、最初こそ戸惑いますが、やり方がわかればスッキリして楽しくなる分野です。
次回は、いちばんシンプルな「共通因数でくくる」公式①についてくわしく見ていきましょう!
次回はこちら
やさしい因数分解②:共通因数でくくる基本の型
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