前回の記事では、「因数分解って何のためにするの?」「公式ってどうなっているの?」という基本的な考え方を紹介しました。
前回はこちら
やさしい因数分解①:意味・目的、基本公式の整理
今回からは、いよいよ公式ごとの解説に入っていきます。
第2回は、因数分解の中でも一番シンプルな形、「共通因数でくくる」パターンです。
ここがわかると、後の公式の理解もグッとラクになりますよ。
用語の整理と公式の使い方
今回使う公式
\(ma+mb=m(a+b)\)
左辺の特徴:
両方の項に「\(m\)」が共通
右辺の特徴:
「\(m\)」をカッコの外に出し、それぞれの項を\(m\)で割った形がカッコの中に入ってます。
共通因数とは
\(3x-12\)
という式を考えます。
この式には\(3x\)と\(-12\)という2つの項があります。
これらは、どちらも\(3\)で割り切れます。(「\(3\)を約数に持つ」とも言います)
つまり、両方の項に「\(3\)」という共通の因数があるということです。
このときの「\(3\)」を、共通因数と呼びます。
公式の使い方
このとき、それぞれの項を次のように書き換えることができます。
\(3x=3 \times x\)
\(-12= 3 \times (-4)\)
これでどちらも\(3\)を因数に持つ形になりました。
これを使って、元の式を次のように変形できます。
\(3x-12=3 \times x+3 \times (-4)\)
この式を公式に当てはめると、次のように因数分解できるわけです。
\(3x-12=3(x-4)\)
つまり、共通因数でくくるとは:
「全ての項に共通因数があるなら、かっこの外に出す」
ということです。かっこの中には、元の項を共通因数で割った結果を入れます。
共通因数でくくるとは、「全ての項の共通因数をかっこの外にだし、かっこの中に元の項を共通因数で割った結果を入れる」操作のこと!
例題
例題1:\(12x+48\)
12 と 48 はともに 12 で割り切れる
→共通因数は 12
それぞれを12 で割ってカッコの中を作る
\(12x+48=12(x+4)\)
因数分解では、それ以上因数分解できない形まで行う必要があります。
たとえば:
\(12x+48=4(3x+12)\)
という形も因数分解に見えます。
しかし、カッコの中の項がさらに 3 でくくれるため、これは未完成。
最終的には:
\(12x+48=12(x+4)\)
とするのが正解です。
12は、12と48の約数の中で最も大きいもの、つまり最大公約数です。
共通因数でくくるときは、最大公約数でくくらなければ完全とは言えないということです。
例題2:\(-5x-25\)
共通因数は −5
\(-5x-25=-5(x+5)\)
負の数でくくると符号が変わるので注意です。
例題3:\(2a-6b+4\)
項が3つあるときは、3 つの共通因数でくくってください。
この例題では、共通因数は 2
\(2a-6b+4=2(a-3b+2)\)
演習と解説
演習1:\(13x-52\)を因数分解してください
解答はこちら
共通因数は\(13\)、したがって
\(13x-52=13(x-4)\)
演習2:\(-4x-24\)を因数分解してください
解答はこちら
共通因数は\(-4\)、したがって
\(-4x-24=-4(x+6)\)
演習3:\(-9x-3y+48\)を因数分解してください
解答はこちら
共通因数は\(-3\)、したがって
\(-9x-3y+48=-3(3x+y+16)\)
終わりに
「共通因数でくくる」パターンは、因数分解の基本中の基本です。
ここをしっかり身につけると、他の公式もスムーズに理解できるようになります。
次回は、いよいよ公式「\((x + a)(x + b)\)の形にするパターン」に進みます。
「足して○、かけて○」の考え方が登場しますので、お楽しみに!
次回はこちら
やさしい因数分解③:「かけて○、たして△」の公式
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