前回は「かけて○、足して○」になる数を見つける定番の公式を学びました。
前回の内容はこちら
やさしい因数分解③かけて足すパターンの公式解説
今回は、それとほぼ同じ形だけど、ちょっとだけ特別な「2乗の形」の公式を扱います。
今回登場する公式はこちら:
- \(x^2+2ax+a^2=(x+a)^2\)
- \(x^2-2ax+a^2=(x-a)^2\)
一見ややこしそうに見えるかもしれませんが、出題パターンは少ないので、すぐに慣れます!
このページでは、公式の見分け方、解き方を例題と演習を交えてわかりやすく解説します。
公式の解説
今回使う公式はこちら:
\(x^2+2ax+a^2=(x+a)^2\)
\(x^2-2ax+a^2=(x-a)^2\)
左辺の特徴:
定数項:\(a^2\)(右辺のかっこの中身の2乗)
\(x\)の係数:\(2a\)または\(-2a\)(右辺のかっこの中身の2倍)
つまり、「2乗して定数項、2倍して\(x\)の係数」を見つけたら、すぐに因数分解できるというわけです。
- 定数項が「整数の2乗」になっているか確認
1、4、9、16、25、36…など - \(x\) の係数の絶対値が、「定数項の平方根\(\times 2\)」か確認
整数を2乗する前の数字のことを「平方根」と呼びます。
例えば、4の平方根は2と-2、36の平方根は6と-6です。
因数分解の次の範囲で習いますが、ここでは説明のために言葉を使います。 - 符号に合わせて公式に当てはめる
例で見てみなしょう。
\(x^2-8x+16\)
ステップ1:定数項が「整数の2乗」になっているか確認
定数項は 16。これは 4 の2乗なので OK。
ステップ2:\(x\) の係数の絶対値が、「定数項の平方根\(\times 2\)」か確認
\(x\) の係数は −8
16 の平方根は 4 (または-4)
→ 4 × 2 = 8 だから 条件クリア
ここで\(a=4\)に決まります。
ステップ3:公式の形に当てはめる
\(x\) の係数が負なので、
\(x^2-2ax+a^2)=(x-a)^2\)
を使います。
よって因数分解の答えは
\(x^2-8x+16=(x-4)^2\)
この公式は、最初は少しとっつきにくいかもしれませんが、使われる数の組み合わせが限られるため、何度か演習していくうちにパッと見て気づけるようになってきます。
自信がつくまで繰り返し練習してみましょう!
例題
例題1:\(x^2+6x+9\)
よって
\(x^2+2ax+a^2=(x+a)^2\)
を使って因数分解できる。
\(x^2+6x+9=(x+3)^2\)
例題2:\(x^2-4x+4\)
よって
\(x^2-2ax+a^2=(x-a)^2\)
を使って因数分解できる。
\(x^2-4x+4=(x-2)^2\)
たとえば\(x^2+6x+9\)は
\(x^2+(a+b)x+ab=(x+a)(x+b)\)
を使っても解けます。
- 定数項 9:
組み合わせは(1, 9)、(3, 3)、(-1,-9)、(-3,-3) - \(x\)の係数 6:
足して6になるのは(3, 3)
これで\(a\)=3、\(b\)=3とわかったので
\(x^2+6x+9=(x+3)(x+3)=(x+3)^2\)
ただし、答案では\((x+3)^2\) まで書かないと減点になるので注意しましょう!
ただし、答案としては \((x+3)^2 \)とすぐ書ける方がスムーズなので、「2乗のかたちにする」公式を使って解くのがベストです。
演習と解説
演習1:\(x^2+2x+1\)
解答はこちらをクリック
\(x^2+2x+1=(x+1)^2\)
演習2:\(x^2-8x+16\)
解答はこちらをクリック
\(x^2-8x+16=(x-4)^2\)
演習3:\(x^2-10x+25\)
解答はこちらをクリック
\(x^2-10x+25=(x-5)^2\)
終わりに
今回は、因数分解の中でも「2乗の形」について学びました。
使われる数の組み合わせが限られているため、慣れると一瞬で見抜けるようになります!
次回は、見た目がちょっと特殊な「差の2乗\((a^2−b^2)\)」の公式について取り上げます。
ここまでの知識を応用すれば、きっとスムーズに理解できますよ!
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