数学の教科書を開くと最初に出てくる因数分解の公式、それが「共通因数でくくる」です。
「なんだか簡単そう」と思うかもしれませんが、実はここが一番の落とし穴。
ここでミスをしたり、やり残しがあったりすると、この後に続く難しい公式もすべて台無しになってしまいます。
この記事では、因数分解の「ミスをゼロにする3つの手順」と、初心者がハマりやすい「3つの落とし穴」を具体例とともに紹介します。
公式\(ma+mb=m(a+b)\)はどうやって考えたらいい?
「共通因数でくくる」と言われるタイプの因数分解の公式です。
これは、実は中1で習った「分配法則」の逆になっています。
- 分配法則(中1):
\(m(a+b)=ma+mb\)
(カッコを外してバラバラにする操作) - 共通因数(中3):
\(ma+mb=m(a+b)\)
(バラバラのものをカッコにまとめる)
具体的には、次の手順で共通因数でくくることができます。
共通因数のくくり方を具体例で見てみよう
共通因数とは?
共通因数とは、字の通り、全ての項に共通する因数のことです。
因数とは、数字をかけ算の形に直したときの、要素のことでした。
たとえば、次のようなものが因数です。
\(6=2 \times 3\)
⇒\(2\)と\(3\)は\(6\)の因数
だから、「ある数の因数」は、「その数を割り切れる数」とも考えられます。
また、数字だけでなく、文字も同じように割り切れます。
たとえば\(x^2\)と\(x\)なら、両方を\(x\)で割ることができるので、\(x\)が共通因数になります。
つまり、共通因数とは「すべての項を割り切れる数、文字」のことなのです。

公式\(ma+mb=m(a+b)\)では、\(m\)が共通因数です。
どうやったら共通因数でくくれる?
もう一度公式を見てみます。
\(ma+mb=\color{red}{m}\color{blue}{(a+b)}\)
公式では、因数分解後の式は、
- カッコの外
共通因数(\(\color{red}{m}\)) - カッコの中
元の式÷共通因数(\(\color{blue}{(a+b)}\))
となっていることがわかります。
そのため、
- 共通因数を見つける
- カッコの外に共通因数を出す
- カッコの中を(共通因数÷元の式)にする
という手順で因数分解することができます。
具体例で見ていきましょう。
例1(項が2つ、共通因数が数字)
\(3x-12\)
- \(3x,-12\)の共通因数は\(3\)
⇒カッコの外に\(3\)を出す - \(3x \div 3 = x\)
\(-12 \div 3= -4\)
⇒カッコの中は\((x-4)\)
よって
\(3x-12=3(x-4)\)
例2(項が2つ、共通因数が負の数)
\(-4x-8\)
- \(-4x,-8\)の共通因数は\(-4\)
⇒カッコの外に\(-4\)を出す - \(-4x \div (-4) = x\)
\(-8 \div (-4)= 2\)
⇒カッコの中は\((x+2)\)
よって
\(-4x-8=-4(x+2)\)

「共通因数が\(4\)でもいいじゃないか」と思われるかもしれません。
ただ、カッコの中身は「文字が先頭、文字の係数は正」がルールなので(そうしないと見づらい)、負の数でくくってやってください。
例3(項が3つ、共通因数が数字)
\(4x-6y+10\)
- \(4x,-6y,10\)の共通因数は\(2\)
⇒カッコの外に\(2\)を出す - \(4x \div 2 = 2x\)
\(-6y \div 2= -3y\)
\(10 \div 2 = 5\)
⇒カッコの中は\((2x-3y+5)\)
よって
\(4x-6y+10=2(2x-3y+5)\)
例4(共通因数が文字)
\(x^2-4x\)
- \(x^2,-4x\)の共通因数は\(x\)
⇒カッコの外に\(x\)を出す - \(x^2\div x = x\)
\(-4x \div x= -4\)
⇒カッコの中は\((x-4)\)
よって
\(x^2-4x=x(x-4)\)
例5(共通因数が数字と文字)
\(2xy+6y\)
- \(2xy,6y\)の共通因数は\(2y\)
⇒カッコの外に\(2y\)を出す - \(2xy \div 2y = x\)
\(6y \div 2y= 3\)
⇒カッコの中は\((x+3)\)
よって
\(2xy+6y=2(x+3y)\)
共通因数でくくるときの計算の工夫
例5のように、数字と文字が混ざった共通因数で間違えやすい人は、共通因数を探す手順を、次のように分解するとよいです。
- 探す:
- すべての項を割り切れる数字がないか考える
- すべての項に共通する文字がないか考える
(ない場合は1と考える) - 考えた数字、文字をかけて共通因数を見つける
- 出す:
その共通因数をカッコの外に書く。 - 割る:
残ったものをカッコの中に書き込む。
(元の式÷共通因数)
先ほどの例を用いて、共通因数の探し方を具体的に見ていきます。
例1
\(3x-12\)
- 共通因数を探す
- \(3x,-12\)を割り切れる数は\(3\)
- \(3x,-12\)に共通する文字はない
- 共通因数は\(3\)
例5
\(2xy+6y\)
- 共通因数を探す
- \(2xy,6y\)を割り切れる数は\(2\)
- \(2xy,6y\)に共通する文字は\(y\)
- 共通因数は\(2 \times y = 2y\)

練習するうちに、分けなくてもできるようになってきます。
慣れるまでは、共通因数でくくれそうなときは、このように手順を分けてやってください。
共通因数でくくるときによくあるミス3選
途中で因数分解をやめてしまう
答えに「まだ因数分解できるかたち」が残っている場合、それは因数分解が不完全とみなされます。
たとえば、\(4x+16\)を
\(4x+16=2(2x+8)\)
のように因数分解すると、カッコの中の\((2x+8)\)がまだ\(2\)でくくれる形になっているため、不正解となってしまいます。
正しくは、次のようになります。
\(4x+16=4(x+4)\)
因数分解をしたときは、必ずカッコ内を確認して、因数分解できるかたちではないか確認するようにしましょう。
負の数で括るときの符号間違い
展開のときと同じで、負の数でくくったときの符号変化は間違えやすいです。
たとえば、\(-2x-8\)を因数分解すると
\(-2x-8=-2(x \color{red}{+4})\)
と因数分解できます。
赤字部分の符号を特に間違えやすいので、必ず注意して計算して、符号ミスをしていないか見直しもするようにしてください。
カッコの中身の\(1\)を\(0\)としてしまう
たとえば、\(x^2+x\)の因数分解で、
正しくは、
\(xy+y=y(x+1)\)
とすべきところを
\(xy+y=y(x)\)
のように、\(y \times y\)の計算を\(0\)としてしまう答案をときどき見かけます。
\(y \times y = 1\)ですので、間違えたことがある方は、必ず気をつけて計算してください。
割られる数が\(0\)でなければ、割り算で\(0\)になることはありえません。
おわりに
お疲れ様でした!共通因数でくくるコツは掴めたでしょうか?
- 共通因数を探す
- 共通因数をカッコの外に出す
- カッコの中を(元の式÷共通因数)にする
の手順を踏めば、共通因数でくくることができます。
また、文字と数字がまざった共通因数で戸惑うようであれば、数字と文字を別々に探すようにしてみてください。
すべての因数分解は、この「共通因数」がないか考えるところから始まります。
地味に見える作業ですが、どんな複雑な問題でも、まずは「共通なものはないか?」と考えるクセをつけてください。
次回は、いよいよ因数分解の本丸「和と積の公式」に挑戦しましょう。組み合わせを爆速で見つけるフィルター術を伝授します!
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