「公式は全部覚えた。練習問題も解いた。なのに、テストで公式が混ざると急に解けなくなる……」
もしあなたがそんな悩みを抱えているなら、原因は「計算ミス」ではありません。
公式を使い分けるための「考え方の整理」ができていないだけです。
因数分解は、いわば「5枚のカードから正解の1枚を引くゲーム」です。
今回は、ぼくが塾講師時代に、多くの生徒に伝えてきた「公式選択の特訓メニュー」をご紹介します。
因数分解、「どの公式が使えるか」の見抜き方の演習
この演習のルール
どの公式を使うかが選べればOKです。
答えを出す必要はありません。
この演習の意図
因数分解をするときの頭の使い方は次の通りです。
- どの公式が使えるかを見抜く
- 選んだ公式通りに計算する
公式が理解できても因数分解が苦手な人は、ほとんどの場合、使うべき公式を見抜く力が弱いです。
そのため、公式の見抜き方をトレーニングするのが、因数分解ができるようになるための近道です。
ただ、よくある因数分解の問題では、「因数分解をしてください」となっています。
しかし、計算までやってしまうと、計算に頭を使ってしまい、公式の見抜き方のトレーニングとしては非効率的になってしまいます。
そのため、この演習では「公式の見抜き方」と「公式を使った計算」を分けて、公式を見抜くところまでをゴールとしています。
因数分解の公式の見抜き方
- 共通因数
- 「2乗-2乗」の公式
- 2乗の公式
- 和と積の公式
の順に検討してください。
具体的には、次のように考えてください。
【因数分解の思考ルート(検討順)】
- 【全体】 共通因数(ある?ない?)
- 【項数】 2個なら「2乗-2乗」!
- 【端っこ】 2乗の数なら「2乗の公式」!
- 【残り】 どれもダメなら「和と積」!

各公式の使い方や、なぜこの順番で考えるのかについて理解を深めたい方は、別記事でまとめていますので、そちらを参照してください。
演習問題
次のそれぞれの数式は、いずれも1回だけ因数分解できます。
- 共通因数
\(ma+mb=m(a+b)\) - 和と積の公式
\(x^2+(a+b)x+ab=(x+a)(x+b)\) - 2乗の公式(プラス)
\(x^2+2ax+a^2=(x+a)^2\) - 2乗の公式(マイナス)
\(x^2-2ax+a^2=(x+a)^2\) - 「2乗-2乗」の公式
\(x^2-a^2=(x+a)(x-a)\)
この5つの因数分解の公式のうち、どれで因数分解できるか、番号で答えてください。
演習1
\(x^2+5x+6\)
解説
- 【全体】
共通因数はない - 【項数】
項数は3個 - 【端っこ】
端っこ\(+6\):2乗の数字じゃない! - 【残り】
全部当てはまらなかったので和と積の公式!
使える公式は5(和と積の公式)
演習2
\(x^2+4x+4\)
解説
- 【全体】
共通因数はない - 【項数】
項数は3個 - 【端っこ】
端っこ\(+4\):\(\color{red}{2}\)の2乗!- 【真ん中の数字】
\(\color{red}{2}\)の2倍が、真ん中の数字\(4\)と一致
⇒2乗の公式が使える - 【真ん中の符号】
真ん中の符号は正
⇒2乗の公式のプラスの方
- 【真ん中の数字】
使える公式は3(2乗の公式(プラス))
演習3
\(x^2-64\)
解説
- 【全体】
共通因数はない - 【項数】
項数は2個- 【前の数字】
\(x^2\) - 【後ろの数字】
\(64\)は\(8\)の2乗 - 【後ろの符号】
マイナス
⇒「2乗-2乗」のかたち
- 【前の数字】
使える公式は2(「2乗-2乗」の公式)
演習4
\(x^2-10x+25\)
解説
- 【全体】
共通因数はない - 【項数】
項数は3個 - 【端っこ】
端っこ\(+25\):\(\color{red}{5}\)の2乗!- 【真ん中の数字】
\(\color{red}{5}\)の2倍が、真ん中の数字\(10\)と一致
⇒2乗の公式が使える - 【真ん中の符号】
真ん中の符号は負
⇒2乗の公式のマイナスの方
- 【真ん中の数字】
使える公式は4(2乗の公式(マイナス))
演習5
\(x^2-4x\)
解説
- 【全体】
共通因数は\(x\)
よって使える公式は1(共通因数)
演習6
\(x^2-10x+16\)
解説
- 【全体】
共通因数はない - 【項数】
項数は3個 - 【端っこ】
端っこ\(+16\):\(\color{red}{4}\)の2乗!- 【真ん中の数字】
\(\color{red}{4}\)の2倍が、真ん中の数字\(10\)とは一致しない
⇒2乗の公式が使えない
- 【真ん中の数字】
- 【残り】
全部当てはまらなかったので和と積の公式!
使える公式は5(和と積の公式)
演習7
\(x^2+16x+64\)
解説
- 【全体】
共通因数はない - 【項数】
項数は3個 - 【端っこ】
端っこ\(+64\):\(\color{red}{8}\)の2乗!- 【真ん中の数字】
\(\color{red}{8}\)の2倍が、真ん中の数字\(16\)と一致
⇒2乗の公式が使える - 【真ん中の符号】
真ん中の符号は正
⇒2乗の公式のプラスの方
- 【真ん中の数字】
使える公式は3(2乗の公式(プラス))
演習8
\(x^2-12x-64\)
解説
- 【全体】
共通因数はない - 【項数】
項数は3個 - 【端っこ】
端っこ\(-64\):2乗の数字じゃない! - 【残り】
全部当てはまらなかったので和と積の公式!
使える公式は5(和と積の公式)

数字自体は\(64\)で2乗のようにも見えますが、どんな数でも2乗すると正になるので、端っこの符号がマイナスの場合は、2乗の数と考えないでください。
演習9
\(x^2-25\)
解説
- 【全体】
共通因数はない - 【項数】
項数は2個- 【前の数字】
\(x^2\) - 【後ろの数字】
\(25\)は\(5\)の2乗 - 【後ろの符号】
マイナス
⇒「2乗-2乗」のかたち
- 【前の数字】
使える公式は2(「2乗-2乗」の公式)
演習10
\(2x^2-6x\)
解説
- 【全体】
共通因数は\(2x\)
よって使える公式は1(共通因数)
おわりに
お疲れ様でした!10問解いてみて、いかがでしたか?
因数分解は、スムーズに解けるようになると、どんどんパズルに近い「楽しいもの」に変わっていきます。
今回学んだ「4ステップの判断手順」は、あなたがこれから高校数学、そして社会へと進んでいく中でも役立つ「情報の整理術」です。
たとえば「和と積の公式の練習」とわかっている問題なら解けるのであれば、公式を選んだ時点で勝負はついたも同然。
ここを乗り越えれば、あなたが今まで積み上げてきた努力は、必ず裏切らずに点数として現れるはずです。
自信を持って、次の問題に進んでください。応援しています!

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