「因数分解の問題を見るたびに、どの公式を使えばいいかわからなくなる」
そういう経験はありませんか?
それ、「和と積の公式」から考え始めているせいかもしれません。
因数分解は、公式を5つ覚えただけでは、実は不十分。
大切なのは、それらを「どの順番で検討するか」という戦略です。
実は、正しい『見極め順序』を身につけるだけで、計算スピードが上がり、ミスも減ります。
今回は、私が塾講師時代に説明していた「因数分解アルゴリズム(手順)」をお伝えします。
今日からあなたの頭の中が、驚くほどスッキリ整理されるはずです。

ここは、新しく覚えることはゼロです。
すでに知っている公式を「使う順番」に整理するだけなので、短時間で定期テストの点数に直結しやすいですよ。
【4ステップ】因数分解の公式はどの順番で考えればいい?
中学校範囲の因数分解は、次のステップで考えると、漏れなく、効率的に考えることができます。
要するに
- 共通因数
- 「2乗-2乗」の公式
- 2乗の公式
- 和と積の公式
の順で検討すればよいということです。
では、次から、なぜこの順番なのかについて解説していきます。
因数分解は「簡単なものから消していく」ゲーム
たとえば、\(x^2-9\)という式を見たとき、「和と積かな、整数の組み合わせは…」と考え始めていませんか?
実はこれ、\((x+3)(x-3)\)と一瞬で解ける「2乗-2乗」の公式です。
しかし、習った順に公式を検討しようとして、最初に「和と積の公式」から考え始めると、簡単な問題に時間をかけてしまったり、テストで焦って結局わからなかったり、ということが起きやすくなります。
そもそもの話になるのですが、公式以外に因数分解をする方法はありません。
なぜなら、「展開公式が成り立つんだから、その逆も成り立つでしょ」というのが因数分解だからです。
そのため、中学校範囲では
「因数分解をする=5つの公式の中から適切なものを選んで使う」
ということになります。
選択肢が5つに絞られているなら、当てずっぽうに選ぶより、「これは違う」と消していく消去法のほうが確実です。
次のステップは、この消去を効率よく行う順番を示しています。
では、具体的な式を使って4ステップを順に見ていきましょう。
ここからは、\(x^2+5x+6\)の因数分解で、実際に考えていきます。
チェック1:全体を見る(共通因数)
最初に共通因数を考える理由は次の2つです。
- 後の計算が楽になる:
共通因数でくくると、カッコの中の数字が小さくなます。
そのため、公式を2回以上使う応用問題で、他の公式に気づきやすくなります。 - 見つけやすい:
各項を眺めるだけなので、脳への負荷が最も低いです。
\(x^2,5x,6\)に共通因数はないので、まずチェック1は通過です。
チェック2:項の数を見る(2乗-2乗)
2番目に「2乗-2乗」を考える理由は次の2つです。
- 見つけやすい:
項の数が2つで、「2乗の公式」、「和と積の公式」より見分けがつきやすい - 忘れやすい:
他の項が3つの公式を先に検討してしまうと、頭の中の選択肢から漏れてしまいやすい
\(x^2+5x+6\)の項の数は3つなので、チェック2も通過です。
チェック3:定数項を見る(2乗の公式)
これも見つけやすいという理由に尽きます。
「2乗の公式」が使えるかどうかは、次の2つを見れば確認できます。
- 定数項が整数の2乗(1, 4, 9, 16…)になっているか
- \(x\)の係数が、定数項の平方根の2倍になっているか
(例:定数項が9なら平方根は3、\(x\)の係数が6かどうか確認)
2つとも、確認はほぼ見るだけになるので、「和と積の公式」に比べれば、確認ははるかに簡単です。
\(x^2+5x+6\)の項の定数項は6です。
2乗の数字は1,4,9,16,25,…,なので、6は2乗の数字ではありません。
よって、チェック3も通過です。
ここまで来たら一択!―和と積の公式
ここまでで該当する公式がなければ、残されているのは「和と積の公式」だけです。
この公式は、他の公式よりも考えることが多いため、最後に時間をかけて検討するようにするとよいです。
\(x^2+5x+6\)は
定数項:6→2×3
\(x\)の係数:5→2+3
なので、
\(x^2+5x+6=(x+2)(x+3)\)
と因数分解できます。
公式検討の手順は、とても平たく言うと「簡単」を先、「複雑」を後に考えています。
実際、慣れてしまえば、チェック1~3は5秒もかからず終わるようになります。

苦手な人ほど「他に自分の知らない解き方があるのかも」と思って手が止まりがちですが、因数分解に関して言えば、公式以外の解き方がありません。
応用問題も、結局は公式の組み合わせです。
なぜこの順番が最強なのか?
脳のメモリ(余裕)をイメージしてください。
たとえば、「この式、共通因数はないか、2乗-2乗でもないか、2乗の公式でもないか、和と積は…」と5つを同時に頭に置きながら考えるのは、それだけで脳に負荷がかかります。
1つずつ、「これは違う」と判断するたびに選択肢が減り、残った公式の検討に集中できます。
- 共通因数・2乗-2乗:
パッと見でわかる「例外」。
すぐに処理して脳から追い出せる。 - 和と積:
候補を書き出す「重い作業」。
他の可能性をすべて消してから、残った脳のパワーを全投入する。
一番処理が重い「和と積」を最後にまわしているのは、重い処理に脳をフル活用するためなんです。
この考え方は、因数分解に限った話ではありません。
消去法で選ぶときは、「考えやすい例外」から先に考えると、処理の重い思考に脳をフル活用できて、効率的に考えることができるんです。

もうちょっと付け加えると、「考えやすさ」以外に「ミスを起こしたときの重大度」も、検討の優先順位を上げます。
何かの手順を見かけたら、実は「考えやすさ」や「ミスしたときの重大度」も検討の軸としてあると知っておくと、手順に対する理解が深まりますよ。
おわりに
因数分解は、いわば「5枚のカードから正解の1枚を引くゲーム」です。
強いプレイヤーは、当てずっぽうに引くのではなく、外れやすいカードから順に捨てていくことで、確実に正解にたどり着いています。
今回紹介した「4ステップ」を意識して演習を繰り返せば、いつの間にか無意識に公式を選べるようになります。
共通因数
→ 2乗-2乗
→ 2乗の公式
→ 和と積
この「順番」を、あなたの武器にしてくださいね。
この記事の内容が整理できたら、次は「見抜く力」を実際に手を動かして定着させましょう。
まずは「計算を切り離して、公式を見抜く力」だけを集中的に鍛えてみませんか?
自分の考え方のクセを修正したい方は、ぜひ一度トライしてみてください。
👉因数分解の公式選択10本ノック!計算せずに「見抜く力」を鍛える特訓

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