「解説を見れば『ああ、なるほど』と思うのに、自分で考えようとするとどうすればいいかわからない…」
そんな経験、ありませんか?
数学が得意な人とそうでない人で、大きく違うのが、「考えを組み立てる順番」です。
考えを組み立てる順番がわかると、解説の理解も進み、応用力もついてきます。
その考える順番を整理するのに使うのが「逆算の考え方」です。
この記事では、応用問題を解くために必須となる「逆算の考え方」について紹介します。
- 逆算思考とは何かがわかる
- なぜ数学で逆算思考が必要かがわかる
- 逆算思考をすることのメリットがわかる
- 逆算思考を養うための解答の読み方がわかる
「逆算の考え方」って何?
逆算の考え方は、目的を先に決めて、それに必要なものを選んでいく考え方
言葉にすると難しそうですが、だいたいの人は普段からよく使っています。
たとえば、夕飯にカレーを作ろうと思ったとします。
カレーを作るためには、肉、にんじん、玉ねぎ、じゃがいも、ルーが必要です。
さらに、おいしく、安全に食べられるようにしないといけないため、
- 具材を切る
- 水で煮込む
- ルーを足す
という工程が必要になってきます。
これらの準備や工程は、すべて「おいしいカレーを作る」という目的から逆算して行動が決まっているのです。
何で「逆算の考え方」を意識する必要があるの?
マニュアルがないものや、マニュアルから少し外れたものに対する応用力がつくから
世の中には、わざわざ逆算をしなくてもいいように、会社や他の誰かがつくったマニュアルがあふれています。
たとえば、カレーであれば作り方はパッケージの裏に書いてあります。
その通りに作ればおいしいカレーは作れます。
でも、それで作れるのはカレーだけです。
たとえば、食材を刻む目的や、煮込む目的が分かったうえで調理していれば、シチュー、スープなど、途中でいろいろな料理に変えたり、同じカレーでも食材を足したり、抜いたりもできるようになります。
マニュアルの背後にある逆算した考え方がわからずにマニュアルだけを理解すると、どうしても応用が利きにくくなってしまうのです。
数学で逆算が重要になる理由
料理は目に見えますし、たとえば「切ったら食べやすくなった」「煮込んだら柔らかくなった」のように、行動と結果がわかりやすいです。
数学は、目に見えないものを扱っているため、行動と結果が見えづらく、逆算できているのか、マニュアル通りなのかの区別がつきづらいです。
また、難しい問題では工程自体が多かったり、問題ごとに条件が変わりやすかったりするので、数学では逆算して考えないと対応できない場面がどうしても多いのです。
数学で逆算の考え方を使うにはどうやったらいいの?
具体的には、次の順に思考、情報を整理します。
【数学の問題を考えるときの順序】
- 求めたいものが何かを考える
- 求めたいものを計算するための公式、必要な情報を考える
- 問題文の条件から、必要な情報を読み取る
なぜ「求めたいもの」⇒「条件」の順に考えるのか?
数学の問題を解くとき、多くの人は問題文に書いてある「条件」から順番に処理しようとします。
解説の多くも、まずは「条件の整理」から始まるので、余計にそうなりがちです。
すると、どうしても「この条件、どう使えばいいんだろう?」、「自分の知っている解き方のパターン(マニュアル)に当てはまるかな?」のような考え方になりがちです。
だいたいの場合、問題文に書かれている条件は複数あります。
選択肢が多いぶん、「どの条件を、どんな計算で、どの順番で使えばいいのか」が見えづらくなり、結果として「知っているパターンならわかる、少し外されるとどうしていいかわからない」という状態になってしまうのです。
そこで必要になるのが、「逆算の考え方」です。
求めたいものは1つしかありません。
求めたいものが何かがわかると、それに合わせて計算方法もかなり絞り込めます。
そのため、条件から考えるより、求めたいものから考えた方が圧倒的に考えやすいのです。
それでは、次で具体例を見てみましょう。
例題で逆算の考え方を確認しよう
例題1(逆算の必要がない問題)
底辺2、高さ4の三角形の面積を求めなさい。
【解説】
三角形の面積の公式に当てはめて
2 × 4 ÷ 2 = 4

解説の必要もないような例題ですね。
このような公式を一度使うだけの問題では、逆算する必要はありません。
例題2(逆算した方がわかりやすい問題)
下図の△OAPの面積を求めなさい。


【解説】
このような問題になると、「どうやって考えたらいいの?」と思う人が増えると思います。
ここでこそ、逆算の考え方が役立ちます。
求めたいものから、何が必要かを考えていきます。
今回、求めたいものは「△AOPの面積」
面積の公式は(底辺)×(高さ)÷ 2
なので、底辺、高さが必要
⇒底辺をOA、高さをAPとみる
- 底辺OAは\(x\)座標から2とわかる
- 高さAPは点Pの\(y\)座標
⇒点Pの\(y\)座標が必要
⇒\(y=2x\)に\(x\)=2を代入して\(y\)座標を求める
これをもとに解答をつくると、次のようになります。
点Aの座標が(2, 0)なので
OA = 2
点Pの座標は、\(y=2x\)に\(x=2\)を代入して
点P(2, 4)
よって、AP = 4
求める面積は
(底辺)×(高さ)÷ 2
= 2 × 4 ÷ 2
= 4


「思考の順序」と「解答の順序」は別物
書く順序と考える順序は逆
- 考えるときの順番
「求めたいもの」⇒「条件」 - 書く(説明する)とき
「条件」⇒「求めたいもの」
例題2の「思考の順序」と「解答の順序」を比べてみてください。
2つの順序が一致していないことがわかると思います。
実は、「思考の順序」と「解答の順序」は一致しないことが多いです。
- 考えるとき
⇒「求めたいもの」から逆にたどる - 書く(説明する)とき
⇒「与えられた条件」から順に進める
という違いがあるからです。
この違いがあるので、「解説は理解できるけど、問題が解けない」ということが起こってくるのです。
逆算の考え方を意識するメリット
ここまでのお話でも触れたことも入りますが、逆算の考え方を意識すると、以下のようなメリットがあります。
- 問題の方針を整理しやすい
- 他の問題への応用が利く
- 日常生活への応用が利く
最初の2つはここまで説明してきた通りです。
最後の1つですが、これが本当に大きいです。
たとえば、例題2のような「グラフでできる三角形の面積の求め方」の手順を覚えたところで日常生活で役に立つことはほとんどありません。
でも、「目的⇒方法」という考え方自体は、日常生活のいたるところで使います。
何か商品を開発したいと思ったときに、「世の中の人は何に困っているだろうか⇒それを解決するためにはどういう商品が必要だろうか」といったような、ビジネスの現場でも当たり前のように使う考え方なのです。



「勉強が世間に出て役に立つかどうか」みたいな議論がたびたび起こります。
パターン暗記だけに終始すると社会に出てから、役に立てづらいです。
こうやって「考え方のトレーニング」として活用できれば、社会に出てからも十分通用する武器になります。
ここまで読むと、「解き方のパターンを暗記するのは良くないことだ」と思われるかもしれませんが、決してそういうわけではありません。
そもそも試験には「限られた時間内で、できるだけ高い得点を取る」という絶対的なルールがあります。
そのルールでは、「考える時間をスキップして、一瞬で答えを出せる決まったパターン」は強力な武器です。
ただ、どんなツールにも一長一短(向き・不向き)があります。
- パターン暗記の「強み」:
同じ形式の問題が出たとき、圧倒的なスピードで処理できる。 - パターン暗記の「弱み」:
条件が少し変わったり、見たことのない問題が出たりすると、歯が立たなくなる。
つまり、パターン暗記自体が悪いのではなく、「一つの武器だけに頼り切って戦おうとするのが危険」という話です。
逆算の考え方を身につけるための習慣
わからない問題は「どこから考え始めればいいのか?」という視点で解説を見る
いきなり、逆算の考え方を身に付けるのは難しいと思いますが、すぐにできる習慣が1つあります。
それは、わからない問題があったときに、「どうやって考えればいいのか?」ではなく、「どこから考え始めればいいのか?」という視点で解説を見るようにすることです。
考え始めが正しければ、後は順に論理を展開していけば、方針が何となく見えてきます。
一番大切なのは、最初の考え始めの部分なのです。
それを繰り返していけば、少しずつ“逆算思考”の感覚が身についていきます。
逆算の考え方のまとめ
今回の記事のまとめは次の通りです。
- 逆算の考え方は日常生活でもよく使っていて、特別なものではない
- 条件から考えるのではなく求めたいものから何が必要か考える
- 考えるときの順序は「求めたいもの⇒条件」、解答の順序は「条件⇒求めたいもの」
- 「逆算の考え方」は社会に出てからも使える武器になる
- わからない問題は「どこから考え始めればいいのか?」という視点で解説を見る



今回の記事はここまでです。
説明のために3ステップにしましたが、大学受験ぐらいの難易度になると、「求めたいもののために求めたいもののために求めたいものを求める」みたいな、4ステップ、5ステップで考えることもめずらしくありません。
ただ、高校受験や、高校の定期テストぐらいではそこまでの思考力は求められないので、そういった機会に「求めたいものから考えを組み立てる」という思考に慣れていってください。


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