「往復」の速さ文章題|道のり・時間どちらをxにしても解けるようになる【中1数学】

「往復」の文章題は、一般的に「道のりをxとおきましょう」と説明されることが多いです。
実際、そのやり方を覚えておけば解ける問題も多いです。

ただ、「道のりを\(x\)とおく」という解き方だけを丸暗記していると、いざ「時間を\(x\)とおいて解きなさい」と指定されたり、道のりを\(x\)とおく方法では処理しにくい問題に出会ったりしたときに、手が止まってしまいます。

これは、等式を立てる作業そのものが苦手なのではなく、「道のりを\(x\)とおいたときの条件整理の仕方」や「時間を\(x\)とおいたときの、等しい関係の見つけ方」など、おき方によって難しいポイントが違うことを理解できていないために起こります。

この記事では、往復の文章題で、道のり・時間どちらを\(x\)とおいても、条件整理から等式づくりまできちんとできるようになることを目指して解説していきます。

この記事でわかること
  • 「往復」の文章題を、道のり・時間どちらを\(x\)とおいても解けるようになる考え方
  • 「道のり」を\(x\)とおいたときにつまずきやすい条件整理のコツ
  • 「時間」を\(x\)とおいたときにつまずきやすい「等しい関係」の見つけ方
  • 「往復」という言葉が持つ「行きと帰りの道のりが等しい」という意味の使い方
  • おき方を丸暗記するだけでは対応しきれない場面と、両方理解しておくメリット

目次

「往復」が出てくる速さの文章題の例題

例題

A君が、P地点とQ地点を往復するのに、行きは時速4km、帰りは時速6kmで歩くと往復で5時間かかった。
P地点とQ地点の道のりを求めよ。

ここから、「道のり」を\(x\)でおいたとき、「時間」を\(x\)でおいたときの解答と考え方をそれぞれ見ていきます。

方程式の速さの文章題では、次のコツを意識しながら考えていきいます。

【コツ1】5つのステップに沿って式をつくる

等式をつくる作業は1つの作業ではなく、5つのステップのあつまりです。
一気に処理しようとすると、どこまでがわかっていて、どこが難しいのかがわかりづらいので、ステップに分割して考えていきます。

【コツ2】「何についての等式か」を考える

等式の両辺は必ず同じものを表しているので、一言で「〇についての式」と言うことができます。
速さの文章題では、「道のり」「時間」のどちらかについての式がほとんどです。

【コツ3】「1あたり」「基準の数」「結果の数」の3つの要素について整理する

速さの文章題では「速さ」「時間」「道のり」の3つです。
「何を文字におくか」「何についての等式をつくるか」もこの3つから選びます。
また、条件もこの3つに沿って整理していきます。

【コツ4】文字でおいたものとは違う要素について等式をつくることが多い

速さの文章題では、次の2つのうちのどちらかで等式をつくることが多いです。

  • 「時間」を文字でおく→「道のりについての等式」をつくる
  • 「道のり」を文字でおく→「時間についての等式」をつくる

解き方①:「道のり」を\(x\)でおいたときの解答と考え方

解答

P地点からQ地点の道のりを\(x\)kmとすると、行きに進んだ道のり、帰りに進んだ道のりはどちらも\(x\)km

往復で5時間かかったので

\[\frac{x}{4}+\frac{x}{6}=5\]

これを解いて

\[x=12\]

よって、P地点からQ地点の道のりは12km

等式をつくる練習なので、途中計算は省略しています。

考え方

STEP
文字をおく

問題文で最後に求めるよう指示されたP地点からQ地点までの道のりを\(x\)kmとおきます。

STEP
等しい関係を見つける

文章中で等しい関係は

  • 歩くと往復で5時間(時間の関係)

を見つけやすいです。

また、往復という言葉に隠れてしまいますが、往復自体に「行きの道のりと帰りの道のりは等しい」という意味があるので

  • 行きの道のりと帰りの道のりは等しい(道のりの関係)

という関係もあります。

道のりを\(x\)とおいているので、時間の関係である「歩くと往復で5時間」の部分を等式にしていきます。

STEP
関係を書き下す

行きの時間と帰りの時間を合計すると往復する時間になるので、等号を使って文章を書き下すと

\[\text{(行きの時間) + (帰りの時間) = (往復する時間)}\]

という式が作れます。

STEP
条件整理

行きは、速さが時速4kmで、道のりはP地点からQ地点までの\(x\)kmです。
時間は\(\displaystyle \frac{\text{(道のり)} }{ \text{(速さ)}}\)で表されるため、行きにかかった時間は\(\displaystyle \frac{x}{4}\)時間です。

帰りは、速さが時速6kmで、道のりはQ地点からP地点までの\(x\)kmです。
行きと同様に計算すると、帰りにかかった時間は\(\displaystyle \frac{x}{6}\)時間です。

この文章題の登場人物である、「速さ」「時間」「道のり」を左に、上に「行き」「帰り」「往復」をとった表を書いてまとめます。

スクロールできます
登場人物行き帰り往復
速さ時速\(4\)km時速\(6\)km
時間\(\displaystyle \frac{x}{4}\)時間\(\displaystyle \frac{x}{6}\)時間\(5\)時間
道のり\(x\)km\(x\)km\(2x\)km

行きの道のりが\(x\)km、帰りの道のりが\(x\)kmなので、往復の道のりはその2つを足して\(2x\)kmです。
一応表は埋めましたが、この問題では使わないのでなくても大丈夫です。

STEP
等式の組み立て

\[\text{(行きの時間) + (帰りの時間) = (往復する時間)}\]

の式に、整理した条件を当てはめて

\[\frac{x}{4}+\frac{x}{6}=5\]

という等式がつくれます。

解き方②:「時間」を\(x\)でおいたときの解答と考え方

解答

行きにかかった時間を\(x\)時間とすると、帰りにかかった時間は\((5-x)\)時間

同じ道を往復しているので、行きの道のりと帰りの道のりは等しいから

\[4x=6(5-x)\]

これを解いて

\[x=3\]

行きにかかった時間は3時間とわかったから、P地点からQ地点の道のりは

\[4 \times 3 = 12\]

より\(12\)km

考え方

STEP
文字をおく

分数が出ないように、P地点からQ地点までの時間を\(x\)時間とおきます。

STEP
等しい関係を見つける

文先ほど見た通り、文章中にある等しい関係は次の2つです。

  • 歩くと往復で5時間(時間の関係)
  • 行きの道のりと帰りの道のりは等しい(道のりの関係)

時間を\(x\)とおいているので、道のりの関係である「行きの道のりと帰りの道のりは等しい」の部分を等式にしていきます。

STEP
関係を書き下す

「行きの道のりと帰りの道のりが等しい」という文章を、等号を使って書き下すと

\[\text{(行きの道のり) = (帰りの道のり)}\]

という式が作れます。

STEP
条件整理

行きは、速さが時速4kmで、時間は\(x\)kmです。
道のりは\(\text{(道のり)} \times \text{(速さ)}\)で表されるため、行きの道のりは\(4x\)kmです。

帰りは、速さが時速6kmです。

帰りの時間は、往復した時間から行きにかかった時間を引けば求めることができます。
往復で5時間、行きに\(x\)時間かかっているので、帰りの時間は\((5-x)\)時間と表せます。

よって、行きと同なじように計算して、帰りの道のりは\(6(5-x)\)kmと表せます。

「速さ」「時間」「道のり」を左に、上に「行き」「帰り」「往復」をとった表を書いてまとめます。

スクロールできます
登場人物行き帰り往復
速さ時速\(4\)km時速\(6\)km
時間\(x\)時間\((5-x)\)時間\(5\)時間
道のり\(4x\)km\(6(5-x)\)km
STEP
等式の組み立て

\[\text{(行きの道のり) = (帰りの道のり)}\]

の式に、整理した条件を当てはめて

\[4x=6(5-x)\]

という等式がつくれます。

STEP
おいた文字と求めたいものが一致しているかチェック

時間を\(x\)時間とおきましたが、問題文で指示されているのは道のりなので、道のりを\(\text{(速さ)} \times \text{(時間)}\)の式で求めて答えとします。

「往復」が出てくる速さの文章題のポイント

「ある区間の往復」は「行きと帰りの道のりが等しい」と考えて、文字のおき方で次のように掘り下げて使う

  • 「ある区間の道のり」を\(x\)とおくと「行きの道のり」「帰りの道のり」ともに\(x\)で表せる
  • 時間を\(x\)とおいたときは、「\(\text{(行きの道のり) = (帰りの道のり)}\)」という等しい関係をつかう

ここでは、「往復」の考え方と、「道のり」「時間」のどちらを\(x\)において解くのがいいのかについて解説していきます。

「往復」という言葉の考え方

この問題で押さえておきたいのが「往復」という言葉の考え方と具体的な2つの使い方です。

「往復」という言葉は、同じところを行って帰ってきたという意味なので、「行きと帰りの道のりが等しい」と考えてください。

このままだと使いにくいので、どういう使い方をしたら、「行きと帰りの道のりが等しい」という意味を等式に反映できるのか、具体的に考えていきます。

道のりを\(x\)とおいたときの「往復」の考え方

まず、指定された区間の道のりを\(x\)とおいたときは、行きも帰りもその区間を進んでいるので、どちらも\(x\)と表すことができます。
まとめると「道のりを\(x\)とおく→行き、帰りの道のりは\(x\)と表せる」ということです。
これで「往復」の意味である「行きと帰りの道のりが等しい」という条件を等式に反映させることができます

時間を\(x\)とおいたときの「往復」の考え方

次に、指定された区間を進んだ時間を\(x\)とおいたときです。
このときは、道のりを文字で表わさないため、文字を使って条件を整理するときに「行きと帰りの道のりが等しい」という条件を等式に反映させることができません。

でも、等しい関係として使って「\(\text{(行きの道のり) = (帰りの道のり)}\)」とすることで、「行きと帰りの道のりが等しい」という条件を等式に反映させることができます。

「往復」の文章題では「道のり」、「時間」のどちらを\(x\)とおくべき?

どちらも一長一短があるので、どちらで解いてもいいが、どちらの解き方も理解しておくのがよい

  • 「道のり」を\(x\)でおくと、分数が出るが、等しい関係の見つけ方、等式の作り方はシンプル
  • 「時間」を\(x\)でおくと、分数は出ないが、等しい関係を見つけて式の形にするのに慣れが必要

道のりを\(x\)でおく解き方のよいところは、等しい関係が見つけやすいということです。
「行きと帰りにかかった時間が5時間」のような直接的な表現があるため、どこを等式にすればよいかがわかりやすいのです。

一般的に、「往復」の問題は、「道のりを\(x\)とおきましょう」と解説されることが多いですが、おそらくこの「等しい関係の見つけやすさ」がそう勧められる理由じゃないかなと思っています。

ただし、条件を整理するときに時間を計算で求めるため、分数が出てきてしまうのが難点です。
難しさは、STEP4の条件整理のところに出てきます

時間を\(x\)でおく解き方のよいところは、分数が出にくいということです。
条件の整理では道のりを計算するので、与えられた数値が小数や分数でない限りは式に分数は出ません。

難点は、直接的な表現がないため、等しい関係を文章中から直接は読み取りにくいことです。
難しさは、STEP2の等しい関係を見つけるところに出てきます

どちらも一長一短あるので、どちらで解いても構わないのですが、基本的にはどちらの考え方も理解しておく必要があります

たとえば、先生が「定期テストでこの往復の問題は絶対出します」のように、問題を指定した場合は、どちらかの解答のわかりやすい方を丸暗記するだけでもいいと思います。

でも、実際はそういうことはまれです。
「往復」の問題は、数ある方程式の出題パターンの1つに過ぎず、テストに出るかどうかは正直わかりません。

問題ごとに、「往復の問題は、道のりを\(x\)とおいて~」「追いつくの問題は、時間を\(x\)とおいて~」と丸暗記をして、処理を増やしてしまうと人の記憶力・処理能力なんてすぐにパンクします。
往復の問題が出なかったり、問題自体は出ても「最初に時間を\(x\)とおいて式を立てなさい」のような指定をされると、努力したことがテストの結果に生かせなくなってしまいます。

そのため、「どちらかの解答を丸暗記して終わり」ではなく、どちらの考え方も理解しておくことが重要になります。

最初は、ハードルが高く感じられると思いますが、色々な問題で考え方をおさえていくと、共通する考え方が見えてくるので、一つ一つの解法を丸暗記するのとトータルの労力はあまり変わりません。

「往復」が出てくる速さの問題のまとめ

今回の記事のまとめは次の通りです。

  • 「往復」は「行きと帰りの道のりが等しい」と考える
  • 「道のり」「時間」のどちらを文字においても解くことはできる
  • 「道のり」を\(x\)とおいたときは、行き、帰りの道のりを\(x\)と表せる
  • 「時間」を\(x\)とおいたときは、\(\text{(行きの道のり)=(帰りの道のり)}\)という等しい関係としてつかう
  • 「道のり」を\(x\)とおいたときに難しいのは条件整理
  • 「時間」を\(x\)とおいたときに難しいのは等しい関係の見つけ方
  • どちらの解き方で解いてもよいが、どちらの解き方も理解しておく方がよい

今回の記事はここまでです。
往復の問題は、「道のり」「時間」のどちらを文字でおいても大きな負担なく解けるので、両方の考え方を理解しておくと安心です。

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