「加減法があるのに、なぜ代入法も覚えるの?」
そう思ったことはありませんか?
実は、「式を整理する手間を省ける」「\(x=◯\)の形なら一瞬で終わる」など、代入法には加減法より圧倒的に速く解けるパターンがたくさんあります。
この記事では、代入法の基本からミスを防ぐ「カッコの使い方」、さらに式変形が必要な応用までレベル別に解説します。
2つの解法を使い分けられるようになれば、連立方程式のスピードと正確さは一気に上がりますよ!
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連立方程式は、2つ以上の式を組み合わせて、それらの式に共通する文字の値を求めるための道具です。
連立方程式の意味や、中学校で学習する、加減法や代入法の解法などについて解説しています。
演習前に、連立方程式の基礎を固めたい方はぜひ読んでみてください。
👉加減法と代入法の理解!中学生が陥るミスとコツも解説
連立方程式の代入法の手順と注意点(前提知識)
代入法では、次の手順で計算します。
代入法は、
- 式の形が「\(x=○\)」や「\(y=○\)」
- 式中の\(x\)または\(y\)の係数が1のとき
のどちらかのときに使いやすいです。
加減法、代入法のどちらも、解のある全ての連立方程式を解くことができます。
だから、どちらを使うべきか、絶対のルールはありませんので、
練習を重ねて、自分が計算しやすいルールを作っていってください。
連立方程式の代入法を例題で理解
例題
\(y=x+5\)…①
\(x+3y=3\)…②
のとき、\(x,y\)の値を求めなさい。
【解説】
式①が「\(y=◯\)」の形
⇒式②の\(y\)に式①を代入する
\(x+3(x+5)=3\ \\ x+3x+15=3 \\ 4x = -12 \\x = -3\)
式①に\(x\)の値を代入して
\(y=-3+5 \\ y=2\)
よって\(x=-3,y=2\)

代入法で2つ目の文字の値を求めるときは、
「\(x=◯\)」、「\(y=◯\)」の式に代入すると、計算がはやくて楽ですよ。
代入法のコツと慣れる方法
代入法を自由に使えるようになるためには、「\(x=○\)」または「\(y=○\)」の「○」の部分の式をひとかたまりとして見れることが重要です。
そのためには、代入するときは、必ずカッコをつけて代入するようにしましょう。

連立方程式の検算(加減法の演習記事でも同じことを書いています)
連立方程式では、最後に代入した式と違う方の式に(例題では式②)に代入すると、答えが正しいかどうかを確認できます。
代入しても等式が成立すれば、それが正しい答えであるとわかります。
実際に、例題で\(x=-3,y=2\)を式②に代入すると
\(-3+3 \times 2 =3\)
となり式②が成り立つので、
\(x=-3,y=2\)が正しい答えであると確認できます。
レベル別の演習問題で加減法をマスター!
代入の操作に慣れよう
演習1
\(y=3x-10\)…①
\(2x+y=5\)…②
のとき、\(x,y\)の値を求めなさい。
解説
式①を式②に代入すると
\(2x+(3x-10)=5 \\ 2x+3x-10=5 \\5x = 15 \\ x = 3\)
式①に\(x\)の値を代入して
\(y=3 \times 3-10 \\ y=-1\)
よって\(x=3,y=-1\)
演習2
\(x=y+2\)…①
\(-x+2y=8\)…②
のとき、\(x,y\)の値を求めなさい。
解説
式①を式②に代入すると
\(-(y+2)+2y=8 \\ -y-2+2y=8 \\y=10\)
式①に\(y\)の値を代入して
\(x=10+2 \\ x=12\)
よって\(x=12,y=10\)
演習3
\(y=2x-7\)…①
\(3x-2y=8\)…②
のとき、\(x,y\)の値を求めなさい。
解説
式①を式②に代入すると
\(3x-2(2x-7)=8 \\ 3x-4x+14=8 \\-x = -6 \\ x = 6\)
式①に\(x\)の値を代入して
\(y=2 \times 6-7 \\ y=5\)
よって\(x=6,y=5\)

この問題のように、係数がマイナスのカッコを外すときは、計算ミスが起こりやすいです。
必ず検算して、答えが正しいか確かめましょう。
代入法の式変形に慣れよう
演習4
\(x-4y=1\)…①
\(2x-3y=7\)…②
のとき、\(x,y\)の値を求めなさい。
解説
式①の\(x\)の係数が1
⇒「\(x=◯\)」の形に変形
\(x-4y=1\)…①
\(x=4y+1\)…①’
式①’を式②に代入すると
\(2(4y+1)-3y=7 \\ 8y+2-3y=7 \\ 5y=5 \\ y=1\)
式①’に\(y\)の値を代入して
\(x=4 \times 1+1 \\ x=5\)
よって\(x=5,y=1\)

係数が1のときは、加減法でも解きやすいので、どちらでも好きな方で解いて大丈夫です。
演習5
\(3x-y=6\)…①
\(5x-2y=4\)…②
のとき、\(x,y\)の値を求めなさい。
解説
式①の\(y\)の係数が-1
⇒\(y=◯\)の形に変形
\(3x-y=6 \)…①
\(-y=-3x+6\)
\(y=3x-6\)…①’
式①’を式②に代入すると
\(5x-2(3x-6)=4 \\ 5x-6x+12=4 \\ -x=-8 \\ x=8\)
式①’に\(x\)の値を代入して
\(y=3 \times 8-6 \\ y=18\)
よって\(x=8,y=18\)

係数が-1のときは、変形するときに符号を間違えやすくなるので注意してください。
一次関数のグラフの交点の求めるときの連立方程式

一次関数は、連立方程式の後の学習範囲なので、未習の方は飛ばして先に進んでいただいても大丈夫です。
問題は、連立方程式の知識だけで解くことができます。
2つのグラフの交点を求めたいときは、そのグラフの式を連立させて解くと、その交点の座標がわかります。
また、関数の式は「\(y=◯\)」の形で表されます。
そのため、交点を求めるときは、代入法で解くのが最も効率的です。
どちらの式も「\(y=◯\)」の形で表されているので、
代入法を使うと、式の右辺同士を等号(=)でつないだ方程式が得られます。
交点を求める計算だけを繰り返していると、何を意味しているのかが分かりにくくなるかもしれません。
しかし、「交点では、両方の式の\(y\)座標が等しいから、一方の式をもう一方の式に代入している」という本質的な感覚を持てるようにしておくと、より深く関数を理解することができると思います。
演習6
\(y=-x+5\)…①
\(y=2x-1\)…②
のとき、\(x,y\)の値を求めなさい。
解説
式①を式②に代入して
\(2x-1=-x+5 \\ 2x+x=5+1 \\ 3x=6 \\ x=2\)
式①に\(x\)の値を代入して
\(y=-2+5 \\ y=3 \)
よって\(x=2,y=3\)
演習7
\(\displaystyle y=-\frac{1}{2}x+3\)…①
\(y=x-3\)…②
のとき、\(x,y\)の値を求めなさい。
解説
式①を式②に代入して
\(\displaystyle -\frac{1}{2}x+3=x-3 \)
両辺に2をかけて
\(-x+6=2x-6 \\ -x-2x =-6-6 \\ -3x=-12 \\ x=4\)
式②に\(x\)の値を代入して
\(y=4-3 \\ y=1 \)
よって\(x=4,y=1\)

分数をはらうタイミングですが、先に分数をはらっても、代入後に分数をはらっても計算の工程としてはそれほど変わらないので、好みで大丈夫です。
ぼくは、「交点⇒連立⇒代入法」と1セットで考えるクセがあるので、交点を求めるときは、\(x\)の方程式ができてから分数をはらっています。
応用問題を解いて、代入法を自由自在に!
演習8
\(y=4(x-1)\)…①
\(5x-3y=-2\)…②
のとき、\(x,y\)の値を求めなさい。
解説
式①が「\(y=◯\)」の形なので、代入法でよいです。
このような式の場合は、右辺の\(4(x-1)\)をひとかたまりで見てください。
式①を式②に代入すると
\(5x-3 \times 4(x-1) = -2 \\ 5x -12(x-1)=-2 \\ 5x-12x+12 =-2 \\ -7x=-14 \\ x=2 \)
式①に\(x\)の値を代入して
\(y=4(2-1) \\ y=4 \times 1 \\ y =4 \)
よって\(x=2,y=4\)

先に式①を展開してもいいのですが、計算工程が増えてしまいます。
カッコでくくられた式をひとかたまりで見れるよう練習しましょう。
演習9
\( \displaystyle \frac{2}{3}x+y=2\)…①
\(x-2y=1\)…②
のとき、\(x,y\)の値を求めなさい。
解説
式②の\(x\)の係数が1
⇒式②を「\(x=◯\)」の形に変形
\(x-2y=1\)…②
\(x=2y+1\)…②’
式①の両辺に3をかけると
\( \displaystyle \frac{2}{3}x+y=2\)…①
\(2x+3y=6\)…①’
式②’を式①’に代入すると
\(2(2y+1)+3y=6 \\4y+2+3y=6 \\ 7y=4 \\ \displaystyle y= \frac{4}{7}\)
式②’に\(y\)の値を代入して
\(\displaystyle x=2 \times \frac{4}{7}+1 \\ \displaystyle x =\frac{8}{7}+\frac{7}{7} \\ \displaystyle x =\frac{15}{7} \)
よって\(\displaystyle x =\frac{15}{7},y= \frac{4}{7}\)
おわりに
お疲れ様でした!
代入法を使いこなせれば、わざわざ式を並べ替えたり、係数をそろえたりする手間がなくなります。
大切なのは「カッコをつけて、ひとかたまりで代入する」こと。
このコツさえ掴めば、複雑な問題でもミスは激減します。
また、代入法に慣れておくと、今後学習する「一次関数のグラフの交点」もスムーズに解けるようになりますよ。
問題に合わせて「加減法」と「代入法」を適切に選べるようになれば、連立方程式はもう完璧です。
自信を持って次のステップへ進みましょう!
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