一次関数のグラフ、「傾きが分数になった瞬間にわからなくなる」という人は多いのではないでしょうか。
実は、一次関数のグラフの描き方は、パターンごとに別々に覚える必要はありません。
「2点をとれば直線は1本に決まる」というたった1つの大前提さえ押さえれば、傾きが整数でも分数でも、切片が整数でも分数でも、すべて同じ考え方で描けるようになります。
この記事では、その「1つの考え方」を土台にして、パターン別の具体的な点の取り方まで順番に解説していきます。読み終わるころには、「一次関数のグラフって、意外とシンプルだったんだ」と感じてもらえと思います。
- なぜ一次関数のグラフは「2点をとるだけ」で描けるのか、その理由
- 切片・傾きがどちらも整数のときの2点の取り方
- 傾きが分数、切片が整数のときの2点の取り方
- 傾き・切片がどちらも分数のときの2点の取り方
- パターンを丸暗記しなくても大丈夫な「共通の考え方」
これだけは押さえたい!一次関数のグラフの描き方、基本の基本
直線のグラフは2点をとれば必ず1本引ける
一次関数の描き方の手順の前に、まず大前提として知っておくとよいのが、「2点をとると直線のグラフは引ける」ということです。
どういう意味か、解説していきます。
2点を通る直線はただ一つ
まず、点を1つとってみましょう。
この点を通る直線は、無数に引くことができます。

でも、もう1点追加するとどうでしょう。
その2点を通る直線は、ただ1本に決まります。

点が1つ → 直線は無数 / 点が2つ → 直線は1本だけ
これは、一次関数のグラフを描くのにとても大事な話です。
一次関数のグラフは通る2点がわかれば描ける
点が2つあれば直線が1本に決まります。
だから、直線である一次関数のグラフも、式を満たす2点をとって、その2つを通る直線を引けばよいです。
一次関数の式に、\(x=0,1\)などを代入して\(y\)を計算、座標にその2点をとって直線を引く。
これだけでグラフは描けるんです。
2点をとって線を引けばグラフを引けますが、毎回計算するのは時間もかかるし、ミスも増えます。
そこで、「2点の楽な見つけ方」を知っておくと便利という話になります。
この「2点の楽な見つけ方」こそが、「切片をとって、傾きでもう1点をとって」という一次関数のグラフの描き方の中身です。
一次関数のグラフを描く問題、パターン別の描き方
先ほどお伝えした、「2点の楽な見つけ方」のご紹介です。
直線のグラフを描くためには2点をとる必要がありますが、テストで使用する方眼用紙には基本的に整数の点しかとれません。
だから、\(x\)座標、\(y\)座標が整数の2点をどうやってとるかを考える必要があります。
一次関数のグラフを描く問題は、傾き、切片の整数、分数の違いで次の3パターンに分類できます。
【一次関数のグラフを描く問題の3パターン】
- 傾き、切片が整数
- 傾きが分数、切片が整数
- 傾き、切片が分数

覚える必要はないです。
これを全部描けるようになれば、一次関数のグラフは全部描けるという目安にしてください。
傾き、切片が整数の一次関数のグラフの描き方
【一次関数\(y=ax+b\)のグラフの描き方(傾き、切片が整数)】
- 切片\(b\)をとる
- 傾き\(a\)をつかってもう1点をとる
右に1、縦に\(a\)だけ進む - とった2点を通る直線を引く
なぜ、最初に切片をとるかというと、「見たら点をとれるから」です。
一次関数の式 \(y = ax + b\)の\(x\)に\(0\)を入れると、\(ax\)の部分が\(0\)になるので、計算するまでもなく\(y = b\)になります。
そして、\(x=0\)のラインはグラフ用紙の\(y\)軸です。
\(y=ax+b\)という式を見ただけで、\(y\)軸上の\(b\)の目盛りのところに1つ目の点をとれるんです。
一次関数では変化の割合が\(a\)でした。
つまり、\(x\)が1増加したとき、\(y\)の値は\(a\)だけ変化します。
そのため、一次関数\(y=ax+b\)は、ある点から「右に\(1\)、縦に\(a\)」進んだ点」も通ります。
最初に切片\(b\)をとっているので、「切片から右に\(1\)、縦に\(a\)進んだ点」を通るとわかります。
ここまできたら、あとはとった2点を通る直線を引くだけです。
傾きが分数、切片が整数のグラフの描き方
【一次関数\(y=ax+b\)のグラフの描き方(傾きが分数、切片が整数)】
- 切片\(b\)をとる
- 傾き\(a\)をつかってもう1点をとる
右に\(a\)の分母、縦に\(a\)の分子だけ進む - とった2点を通る直線を引く
切片の取り方は、さっきの傾き・切片が分数のときと何も変わりません。
問題は2点目のとり方です。
2点目を傾き\(a\)から考えること自体は、先ほどの傾き、切片が整数のときと変わりません。
ただ、グラフ用紙は、\(x\)座標、\(y\)座標ともに整数の点しかとれません。
そのため、\(a\)が分数だと、同じように右に1、縦に\(a\)進んだ点をとろうとしてもとれないのです。
そういうときは、「右に\(a\)の分母、縦に\(a\)の分子だけ進んだ点」をとります。
たとえば、傾きが\( \displaystyle \frac{2}{3}\)の場合を考えてみます。
\(y\)の値は、\(x\)が1増加するたび、傾き\( \displaystyle \frac{2}{3}\)の分だけ増加します。
そのため、\(x\)の増加量と、\(y\)の増加量は次の表のようになります。
| \(x\)の増加量 | 1 | 2 | 3 |
|---|---|---|---|
| \(y\)の増加量 | \( \displaystyle \frac{2}{3}\) | \( \displaystyle \frac{2}{3} \times 2\) | \( \displaystyle \frac{2}{3} \times 3\) |
\(x\)が\(3\)増えたときの、\(y\)が\(2\)増えていることがわかります。
\(y\)の増加量は、\(a \times \text{xの増加量}\)で計算できます。
\(x\)が\(a\)の分母と同じとき、\(y\)の増加量(\(a \times \text{xの増加量}\))は\(a\)の分子になります。
つまり、\(x\)が\(a\)の分母と同じだけ増えたとき、\(y\)は\(a\)の分子と同じだけ増える(減る)ということです。
だから、一次関数のグラフは傾きが分数のとき、ある点から「右に\(a\)の分母、縦に\(a\)の分子だけ進んだ点」を通ることがわかります。
ここまできたら、あとはとった2点を通る直線を引くだけです。
傾き\(a\)が整数であっても同じように考えることができます。
たとえば、傾きが4だった場合、これをあえて分数で表記すると\( \displaystyle \frac{4}{1}\)となります。
これを、先ほどの「右に\(a\)の分母、縦に\(a\)の分子だけ進んだ点」というルール通りに考えると、
「右に1、縦に4進んだ点」となり、整数のときの「右に1、縦に\(a\)進んだ点」というルールと同じ結果になります。



切片が整数のときの一次関数のグラフの描き方は、こちらの記事に具体例付きでまとめています。
👉一次関数のグラフの描き方3ステップ!「切片⇒傾き」で考える基本の描き方【中2数学】
傾き、切片が分数のグラフの描き方
【一次関数\(y=ax+b\)のグラフの描き方(傾きが分数、切片が分数)】
- \(x,y\)ともに整数である適当な1点をとる
- 傾き\(a\)をつかってもう1点をとる
右に\(a\)の分母、縦に\(a\)の分子だけ進む - とった2点を通る直線を引く
まず、「\(x,y\)ともに整数である適当な1点」をとります。
なぜ、最初に切片をとらないかというと、切片が分数だと「見ても点がとれないから」です。
切片がわかればそれが一番ですが、わからないんだから仕方がないというだけです。
2点目はさきほどと同様に、1点目から「右に\(a\)の分母、縦に\(a\)の分子だけ進んだ点」をとってください。
これもお決まりの作業です。
2点を通る直線を引いてください。



切片が分数のときの一次関数のグラフの描き方は、こちらの記事に具体例付きでまとめています。
👉一次関数のグラフ:切片が分数である直線のグラフの描き方【中2数学】
一次関数のグラフの描き方の考え方
ここまでの考え方をまとめると次のようになります。
【一次関数のグラフを描くときの考え方】
基本の基本を確認
- 切片が整数のとき
そのままとる - 切片が分数のとき
とれないので、違う適当な点をとる
ある点から傾きの分母の数だけ右、分子の数だけ上下に進んだ点をとる
※傾きが整数のときは分子を1と考える
パターンごとのグラフの描き方があると思ってしまうと覚えることが増えて大変に感じます。
一次関数のグラフの問題は1つの考え方ですべて描くことができるんです。
自分の道具として一次関数のグラフを使う場合
ここまで説明してきたのは「テスト問題として」のグラフの描き方です。
つまり、テストで使う「目盛り1の方眼用紙に描く」という制約がある中での描き方です。
何か考えをまとめるためにメモ書き程度にグラフを描く場合にそんな制約はないので、「切片⇒傾き」と考えてグラフを描けば大丈夫です。
定期テストでの一次関数のグラフの描き方でおさえるポイント
ばらばらで見ると覚えることが多そうですが、次の3点だけおさえておけば、一次関数のグラフはどんなグラフでも描くことができます。
- 2点がわかれば一次関数のグラフは描けるとわかる
- 切片がとれるときは切片、とれないときは適当な1点をとれる
- 傾きを使って、切片(または適当な点)と別のもう1点をとれる
- ある点から、「傾きの分母の数だけ右、分子の数だけ上または下へ」移動した点が2点目



今回の記事はここまでです。
「一次関数のグラフの描き方って覚えることが多い」と思っていたら、意外とそうでもなかったんじゃないでしょうか?
ポイントをおさえて演習すれば、どんなグラフでも描けるようになるので、意識して演習してみてくださいね。


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