「関数や座標の応用問題になると、途中で手が止まってしまう」
そんな経験ありませんか?
実は、多くの応用問題は、一見複雑に見えても、3つの基本操作と少しの知識を足して組み立てることで解くことができます。
この記事では、グラフ上の点・式・交点を求める3つの基本操作と、それらを使いこなすための思考の自動化について分かりやすく解説します!
- グラフ上の点、式、交点を求める「3つの基本操作」がクリアになる
- 応用問題で手が止まる本当の原因と、どの程度まで学習すればよいかの目標
- 具体例や入試レベルの例題を通じて、ロードマップの組み立て方が身につく
座標平面上での点、式の求め方
- グラフ上の点の座標の求め方
-
グラフの式に\(x\)座標または\(y\)座標のわかっている方を代入する
- グラフの式の求め方
-
グラフの式を一般形でおいて、\(x,y\)を代入する
- 交点の座標の求め方
-
交点を通る2つのグラフの式を連立させる
グラフ上で、座標や、式を求める問題には、色々なパターンがあるように見えます。
でも、実はこの3つの基本操作の組み合わせと、図形の性質を考えることで多くの問題を解くことができます。
それぞれ見ていきます。
グラフ上の座標、式の求め方
グラフは、関数の式を満たす点のあつまりです。
だから、関数の式を満たす\(x,y\)とグラフ上の座標\((x,y)\)は表し方が違うだけで、同じものです。
当然、関数の式を満たす\(x,y\)の求め方も、グラフ上の座標\((x,y)\)の求め方もまったく同じです。
グラフと\(x\)座標または\(y\)座標がわかっているときは、わかっている方の値をグラフの式に代入すると、\(x,y\)座標のわからない方が計算できます。
具体例で見てみましょう。
放物線\(y=2x^2\)上にある\(x\)座標が\(2\)である点Pの座標

点Pの\(y\)座標は、点Pを通るグラフの式\(y=2x^2\)に点Pの\(x\)座標を代入すれば求められます。
\(y=2 \times 2^2\)
\(y=8\)
よって点Pの座標は\((2,8)\)
放物線\(\displaystyle y= -\frac{1}{2}x^2\)にあって、\(x\)座標が正、\(y\)座標が\(-2\)である点Qの座標

点Qの\(x\)座標は、点Qを通るグラフの式\(\displaystyle y= -\frac{1}{2}x^2\)に点Qの\(y\)座標を代入すれば求められます。
\( \displaystyle -2=-\frac{1}{2} \times x^2\)
\(x^2=4\)
\(x= \pm2\)
\(x\)座標は正なので\(x=2\)
よって点Qの座標は\((2,-2)\)
また、グラフの式を求めたいときは、式を一般形でおいて点を代入すれば求めることができます。
点A\((-1,3)\)を通る、\(y\)が\(x\)の2乗に比例する関数のグラフの式

\(y\)が\(x\)の2乗に比例する関数の式は\(y=ax^2\)とおけます。
この式に、通る点の座標である\(x=-1,y=3\)を代入して
\(3=a\)
\(a=3\)
よって、求めたい放物線の式は\(y=3x^2\)
■\(y=ax^2\)で\(x,y\)や式の計算をするときの注意点について知りたい方はこちらの記事をお読みください。
グラフの交点の求め方
グラフが「関数の式を満たす\(x,y\)のあつまり」なので、2つのグラフの交点とは、どちらのグラフの式も満たす\(x,y\)の組み合わせになっています。
2式に共通な\(x,y\)を求めたいときは、その2式を連立させると求めることができます。
そのため、交点を通るグラフの式が2つともわかっている場合、それらを連立して解くと、交点の座標を求めることができるのです。
これも具体例で見てみましょう。
放物線\(y=x^2\)と直線\(y=-x+6\)の交点の座標

\(y=x^2\)と\(y=-x+6\)を連立させると交点の座標が求められます。
どちらも左辺が\(y\)なので、代入法を使うと考えやすいです。
\(x^2=-x+6\)
\(x^2+x-6=0\)
\((x+3)(x-2)=0\)
\(x=-3,2\)
\(y=x^2\)に\(x=-3,2\)をそれぞれ代入すると
\(x=-3\)のとき\(y=9\)
\(x=2\)のとき\(y=4\)
よって交点は\((-3,9),(2,4)\)

ここまで、二次関数にしぼって説明してきましたが、一次関数の知識を求められることもよくあります。
特に式の求め方は忘れがちなので、あわせて復習しておくと安心ですよ。
■一次関数の式の求め方を復習したい方はこちらの記事をお読みください。
関数の応用問題を解く前に、まず基本操作を自動化しておこう
応用問題に取り組む前に、次のアプローチは考えなくても出てくるようにしておく
- グラフ上の点を求めたい
→グラフの式と\(x,y\)座標のどちらかを探す - グラフの式を求めたい
→式の一般形を文字で表して、通る点を探す - 交点を求めたい
→交点を通る2つのグラフの式がわかっていないか確認する
「応用問題になると手が止まる」と言う人はよくいます。
「応用問題の解き方を理解できていないことが原因」と考えがちですが、実は、その手前の基本操作があやふやなことが原因であるケースが多いです。
ほとんどの数学の問題は、「○○のとき」という条件からスタートして、「△△を求めなさい」という問いに答えることがゴールになっています。
この「スタートからゴールまで」を毎回まじめに考えようとすると、応用問題では、かなりの確率で途中で手が止まってしまいます。
数学が得意で応用問題でも考えられる人は、「考える力がある」からというより、考えなければならないことを減らしています。
どうやって減らしているかというと、「座標の計算」「式の計算」といったほぼ毎回出てくるような基本操作を、考えなくてもできるレベルまで演習して、思考を自動化しています。
自動化していない状態では、「座標の計算」「式の計算」「問題構造の理解」を全部同時に考えなければなりません。
一方、自動化できていると、前の2つが自動で出てくるので、考えるのは「問題構造の理解」だけで済んでしまいます。
基本操作を自動化できている人とそうでない人では、テスト中だけでなく、普段の学習でも差が出てきます。
応用問題の演習でも、「問題構造の理解」だけにほとんど全力を使えるので、理解も習得もはやいのです。
よく「基礎をまずしっかりやりましょう」と言われますが、その根拠がこれです。
具体的にどのぐらいまで練習すれば思考が自動化したと言えるのかという話ですが、思考が自動化していると、問題文を読んだときに、次のような考えが自然に浮かぶようになります。
「グラフ上に点Aがあるから、とりあえず式と\(x\)座標・\(y\)座標を探しておくか」
「式がわからないから、とりあえず式が通る点を探しておくか」
「交点だから、とりあえず式が2本わかっていないか探しておくか」
たとえば、「交点は連立方程式で求められる」と知っているだけでは、まだ不十分です。
実際には「どうやって解くんだっけ?」「どんな情報が必要だっけ?」と思い出すための小さな脳の負担が残っているからです。
一つひとつは小さくても、問題の量が増えたり、問題が複雑になったりするとこの負担はバカになりません。
一方で、解き方や必要な情報が考える間もなくパッと浮かび、「2つの式を探す」という具体的な行動にまで落とし込めている状態になればどうでしょうか。
探すことだけに集中できるようになり、脳のスタミナ(思考力)を大幅に節約できるようになります。
超弱音を吐くと、ここの単元は感覚の話になるので、正確に伝えるのがかなり難しいです。
この章でお伝えした内容も、「とりあえず、探せばいいんでしょ?」とノウハウ的に受け取ると、実際のテストではやっぱり手が止まってしまいます。
探した後に、探した値の使い方を思い出さなければいけないからです。
感覚としては、計算方法を考えなくて済むぐらいまで演習すると、結果として「探せばいいか」という行動だけが残るという感じです。
ノウハウではなく、どこを目指して勉強すればよいかの指針として受け取ってください。
では、ここから、どういう風にこれらの基本操作をつかって考えていくか、例題をもとに見ていきましょう。
例題で基本操作の組み合わせ方を確認してみよう
例題1
次の図のように、\(y\)が\(x\)の2乗に比例する関数のグラフ①と、一次関数のグラフ②が2点A,Bで交わっている。
②のグラフの式は、\(y=2x+4\)で表され、点Aの\(x\)座標は\(2\)である。
このとき、①のグラフの式と、点Bの座標を求めなさい。


解答
\(x=2\)を\(y=2x+4\)に代入すると\(y=8\)
よって、点Aの座標は\((2,8)\)
①のグラフの式を\(y=ax^2\)とおいて点Aの座標を代入すると
\(8=4a\)
\(a=2\)
よって、①のグラフの式は\(y=2x^2\)
①と②を連立すると
\(2x^2=2x+4\)
\(x^2-x-2=0\)
\((x+1)(x-2)=0\)
\(x=-1,2\)
点Bの座標は、①と②の交点のうちの点Aではない方なので
点Bの\(x\)座標は\(x=-1\)
\(x=-1\)を\(y=2x+4\)に代入して\(y=2\)
よって点B\((-1,2)\)
考え方
ぼくは、問題文を読みながら、次のような作業と思考をしています。
- 作業
-
- 式を図のグラフに写す
- 思考
-
- 点Aが\(x\)座標しかわかっていないので\(y\)を計算してみよう
(作業として計算して図に書き写すこともあります) - ①の式を求めるために
- 一般形で式を置いてみよう
- 点Aを通るので、点Aを代入できるかも
- 点A、Bは交点なので、①と②を連立させるかもしれない
- 点Aが\(x\)座標しかわかっていないので\(y\)を計算してみよう



変な話ですが、ご飯を食べる前に「いただきます」とか言うのと感覚的には似ています。
ここからさらに思考を整理していきます。
- 点Aの座標
式と\(x\)座標がわかるのですぐに計算できそう - ①の式
一般形に点Aの座標を代入すれば求められるけど、点Aの座標がわからないと計算できないので、点Aの座標を計算した後 - 点Bの座標
①と②の連立で求められるが、①の式がわからないと計算できないので、①の式を求めた後
順序の整理は手を動かしながらでも構いません。
たとえば、最初に式を文字でおいてみて、「点Aがわからないとだめか」と思ってから点Aを求めても、何も問題はありません。
ここまで整理できると、
点Aの計算→式①の計算→点Bの計算
という、全体のロードマップが見えてきます。
そうすると、後はその順番に計算をして答案に書いていくだけになります。
入試問題で、基本操作の先の思考の展開を確認してみよう
例題2
次の図のように、関数\(y=ax^2\)のグラフ\((a \gt 0)\)と、傾きが\(-1\)である一次関数のグラフが2点A,Bで交わっている。
点Aの\(x\)座標が\(1\)、点Bの\(x\)座標が\(-2\)であるとき、この一次関数の式を求めなさい。


これは、埼玉県の入試問題の数字を変えたものです。
実際の入試では、これぐらいの問題が出ます。
交点の使い方が少し普段と違うので、そこがポイントになります。
解答
傾きが\(-1\)の一次関数は\(y=-x+b\)とおける
\(y=ax^2\)と\(y=-x+b\)の交点の\(x\)座標は、この2式を連立させた次の式①を満たす
\(ax^2=-x+b…①\)
この2式の交点の\(x\)座標は\(-2\)と\(1\)なので、それぞ式①に代入すると
\(4a=2+b…②\)
\(a=-1+b…③\)
②-③を計算すると
\(3a=3\)
よって\(a=1\)
式③に\(a\)を代入すると
\(1=-1+b\)
\(b=2\)
よって求める直線の式は\(y=-x+2\)
解説
ぼくは、問題文を読みながら、次のような作業と思考をしています。
- 作業
-
- 式を図のグラフに写す
- 思考
-
- 点A、Bが\(x\)座標しかわかっていないので\(y\)を計算してみよう
- 直線のグラフを式で表してみよう
- 点A、Bは交点なので、①と②を連立させるかもしれない
ここからさらに思考を整理すると次のようになります。
- 条件から直線の式は\(y=-x+b\)とおけた
- どちらの式も文字が入っているから、\(y\)座標は文字になりそう(※1)
- どちらの式も文字が入っているから、連立させても単純には処理できなさそう(※2)
⇒とりあえず、こっちをもう少し掘り下げてみよう
難しい問題では、基本操作を進めていくと、どこが難しいのかがクリアになってきます。
ほとんどの場合、いきなり正答まで答えを考えているわけではありません。
さらにここから、交点をどう処理するかについて考えます。
- そもそも、交点の座標はどちらの式も満たす\(x,y\)の組み合わせ
- だから、式を連立させて、どちらの式も満たす\(x\)を求めている
- ということは逆に、連立させた式は交点の\(x\)座標を代入しても成立する
ここまで考えを整理すると
2式の連立→\(x\)の代入
というロードマップが見えるので、その通りに進めます。
すると、\(a,b\)が入った2式が出てくるので、連立させると\(a,b\)を求めることができ、求めたい直線の式は\(b\)を代入すれば求めることができるというわけです。



ちなみに点A、Bの座標を出してみようかなとは頭をよぎりましたが、解答では使っていません。(別解では使います)
「考えたり、計算したりしてみたけど使わなかった」ということは、本当によくあります。
ちなみに、(※1)の考えを掘り下げると、次の別解にたどり着きます。
別解
傾きが\(-1\)の一次関数は\(y=-x+b\)とおく
\(y=ax^2…①\)
\(y=-x+b…②\)
点Aは①上の点なので、点Aの\(y\)座標は①に\(x=1\)を代入して\(y=a\)と計算できる
また、点Aは②上の点でもあるので、点Aの\(y\)座標は②に\(x=1\)を代入して\(y=-1+b\)と計算できる
この2つはどちらも点Aの\(y\)座標なので
\(a=-1+b…③\)
が成り立つ
点Bも①、②上の点なので、同様に考えると
\(4a=2+b…④\)
が成り立つ
別解の③、④の式は、解答の②、③の式と同じ式なので、この後の計算は省略します。



ちなみに、式につける番号は、特に書き方の決まりがあるわけではありません。
「繰り返し書くのが面倒だな」と思ったときにつければ十分です。
別解の補足
点Aや点Bは、「 \(y = ax^2\)のグラフ上の点」であり、同時に「 \(y = -x + b\)のグラフ上の点」でもあります。
どちらの式から覗いてみても、そこにあるのは「たった1つの点」です。
当然そこでの\(y\)座標は完全に同じはずです。
だから、それぞれの式から表される\(y\)の値をイコールで結んでいます。
この発想は、一見すると最初の解答(連立方程式)とは全然違うことをやっているように見えるかもしれません。
でも、本質をたどれば「交点とは一体なんなのか?」という同じ意味を、別の角度から眺めているだけなんです。
例題2は、本当にいい問題だなあと思います。
普段の勉強だと、交点の求め方はどうしても「交点を見つけるために、とりあえず連立方程式を解いて\(x\)を出す」という一方向の流れ作業になりがちです。
でもこの問題では、「交点の\(x\)座標は分かっているけれど、式の文字が足りないから、逆の順序で式と\(x\)の関係を組み立て直さなきゃいけない」という、普段とは真逆の頭の使い方を迫られます。
だから、「なぜ交点を求めたければ連立させるのか」「連立した後の式はどういう意味があるのか」といった単に計算するだけなら見落としがちな基本が理解できていないと、考えを整理することができません。
この問題そのものがそのまま次の入試に出るかといえば、それは分かりません。
それでも、この1問を通じて「グラフと式の関係って、こういう仕組みだったんだ」と自分の言葉で整理できたなら、これからのどんな応用問題でも通用する「グラフの扱う力」が身につくはずです。
まとめ
お疲れ様でした!
数学の応用問題が解けないのは、「考える力」がないからではなく、基本操作が頭に定着していないせいで脳のメモリを使い切っているからです。
二次関数では、図形との融合問題など、様々な応用問題が出てきますが、今日ご紹介した基本操作を考えずにできるようになっておくことが、もっと複雑な問題を解くためのスタートラインです。
まずは今日紹介した3つの基本操作を徹底的に演習し、反射的に手が動くレベルまで自動化していきましょう。
一つひとつのステップを確実に積み上げていけば、どんな入試問題でも慌てずに取り組むことができるようになりますよ!
【この記事のまとめ】
- グラフの問題の大部分は「点」「式」「交点」の3つの基本操作に分解できる
- 基本操作の学習は、考えなくても計算できるレベルを目指す
- 基本操作を自動化することで、応用問題の構造理解に脳のスタミナを集中できる
【次に実施するとよいこと】
まずは今回紹介した3つの基本操作(代入、一般形への代入、連立方程式)の基礎問題を数問ずつ解いて、反射的に手順や式が出てくるか確認してみましょう。


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