一次関数の式を求める問題で、「問題によって解き方がバラバラに思えて混乱する」と悩んでいませんか。
一次関数(\(y=ax+b\))の式の決め方には色んなパターンがあると思われがちですが、実は、「必要な情報は条件2つ」ということで共通しています。
本記事では、式の意味という根本的な仕組みから解き方を整理し、与えられた条件から迷わず式を決めるための手順を解説していきます。
構造から順を追って理解すれば、パターンごとの解法も自然と身についていきますよ。
- なぜ「一般形(\(y=ax+b\))に代入する」という共通の手順で解けるのか
- 条件の与えられ方に応じた3つの基本パターンと、間違えやすい注意点
- 問題文の言葉(「傾き」「切片」「平行」など)を正しく条件に変換する方法
一次関数(直線)の式ってどうやって求めたらいい?
一次関数\(y=ax+b\)の式の求め方は、最初に与えられた条件によって大きく次の3つ
- 通る2点がわかっている
-
\(y=ax+b\)とおいて、通る2点を代入、\(a,b\)の連立方程式を解く
- \(b\)と通る1点がわかっている
-
\(y=ax+b\)の\(b\)を代入、通る1点を代入して、\(a\)の方程式を解く
- \(a\)と通る1点がわかっている
-
\(y=ax+b\)の\(a\)を代入、通る1点を代入して、\(b\)の方程式を解く
ここからは、どうやってこの3つのパターンになるかを、関数の式の意味から解説していきます。
すべての関数の式の求め方に共通する考え方
ほとんどの場合、関数の式やグラフの式を求めるには「関数の式を一般形でおく⇒条件を代入」という手順を踏む
関数とは、「\(x\)を1つ決めると\(y\)がただ1つに決まるときの決まり方のルール」のことです。
この関数を式の形で表したものが関数の式、さらに関数の式を座標にとって視覚化したものがグラフです。
中学校で学習する関数は、いずれも「式の形(構造)」や「グラフの形」が定まっているため、問題文の中の条件から定数(係数)を文字でおいた一般形で表現することができます。
一般形がわかると、仮に未知の関数であっても、「一般形に座標の値を代入して、係数(\(a\)や\(b\))の方程式を解く」 という共通の手順で式を決定できるようになるのです。
一次関数の場合の式を求めるために押さえておきたい知識
- 一次関数の一般形は\(y=ax+b\)
- 一次関数のグラフは直線
一次関数の一般形は\(y=ax+b\)で表され、グラフは直線になります。
そのため、「一次関数~」という言葉や「直線~」があって、式を求めたいときは、
- \(y=ax+b\)でおく
- 与えられた条件を代入
というステップを踏むことになります。
一次関数の場合は、\(a\)と\(b\)の両方を求めないといけないため、中学校で習う他の関数よりも条件が少し複雑なので、しっかり整理しておくことが大事です。
条件の与えられ方は、大きく整理すると次の3つです。
- 通る2点がわかっている
- \(b\)の値と、通る1点がわかっている
- \(a\)の値と、通る1点がわかっている
次の章からそれぞれの求め方と注意点について例題付きで解説していきます。
通る2点がわかっているときの一次関数\(y=ax+b\)の求め方
例題1(通る2点がわかっている問題)
2点(2, 3)、(-1,6)を通る直線の式を求めなさい
解答
求める式を\(y=ax+b\)とおく
\(x=-1\)、\(y=6\)を代入すると
\(6=-a+b\)…①
\(x=2\)、\(y=3\)を代入すると
\(3=2a+b\)…②
\(\begin{array}{l} -a+b=6 …① \\ 2a+b=3 …② \end{array}\)
①-②より
\(-3a=3\)
\(a=-1\)
①に\(a=-1\)を代入して
\(1+b=6\)
\(b=5\)
よって、\(a=-1\)、\(b=5\)
これを元の式に代入して
\(y=-x+5\)
解説と注意点
一番シンプルでよくあるパターンで、定期テストでは、ほぼ間違いなく一題は出ます。
\(y=ax+b\)に、どんな\(x,y\)を代入しても、\(b\)はそのまま変わらないため、加減法で\(b\)を消去してしまうと計算しやすいです。
\(b\)を消去するときの符号ミスや、\(x\)の値が負の数のときの符号ミス、移項するときの符号ミスなどが、ミスしやすいポイントになるので、その点に注意して演習するとよいです。
\(b\)と通る1点がわかっているときの一次関数\(y=ax+b\)の求め方
例題2(\(b\)と通る1点がわかっている問題)
切片が\(-2\)で、点\((4 , 6)\)を通る直線を求めなさい。
解答
切片が\(-2\)なので、求める式を
\(y=ax-2\)…①
とおく
①に\(x=4\)、\(y=6\)を代入して
\(6=4a-2\)
\(4a=8\)
\(a=2\)
これを①に代入して
\(y=2x-2\)
解説と注意点
問題文では「切片は\(-2\)」と直接書いてくれないこともあります。
次の3つはすべて同じ意味(\(b = -2\))です。
特に注意してほしいのが、「点\(0,-2\)を通る」という条件のときです。
この条件の書き方に関連するミスを2つご紹介します。
点\((0, -2)\)を「普通の1点」として\(a,b\)の連立方程式として解こうとしてしまう。
実際、「点\(0,-2\)を通る」という条件で出るときは、次のような問題として出てきます。
点\((0,-2)\)、点\((4 , 6)\)を通る直線を求めなさい。
点\((0, -2)\)と点\((4, 6)\)を通る直線なので、\(y = ax + b\)に両方を代入すると、
\(\begin{array}{l} b=-2 …① \\ 4a+b=6 …② \end{array}\)
という2式が得られます。
ここまでの処理は全く問題ないのですが、ここから「\(a\)が消えてしまって解けない!」と焦る人がときどきいます。
確かに、\(a,b\)の両方がないので、いわゆる「加減法」や「代入法」が使えないように見えます。
ですが、\(b = -2\)とわかった時点で切片が求まった状態です。
下の式に \(b = -2\)を代入すればすぐに\(a\)が出ます。

連立方程式の単元で習った「加減法」、「代入法」は、「2式とも\(a,b\)の両方」がわからないときに使う方法ですが、それよりも文字の数や種類が少ない場合はどちらの方法も使わずに計算できます。
点\((-2, 0)\)を切片と勘違いしてしまう
点\(\color{red}{(-2,0)}\)、点\((4 , 6)\)を通る直線を求めなさい。
\(x\)座標と\(y\)座標の「\(0\)」の位置が逆になっているパターンです。
この点\(\color{red}{(-2,0)}\)を見て、切片が\(-2\)として計算をして間違える人もときどきいます。
- 点\((0, -2) \rightarrow x = 0 \)だから 切片(\(y\) 軸上の点)
- 点\((-2, 0) \rightarrow y = 0 \) だから 切片ではない(\(x\)軸上の点)
切片は\(x = 0\)のときの\(y\)の値 です。
引っかからないように座標の並びをしっかり確認しましょう。
\(a\)と通る1点がわかっているときの一次関数\(y=ax+b\)の求め方
例題3(\(a\)と通る1点がわかっている問題)
傾きが\(-2\)で、点\((4, 6)\)を通る直線を求めなさい。
解答
傾きが\(-2\)なので、求める式を
\(y=-2x+b\)…①
とおく
①に\(x=4\)、\(y=6\)を代入して
\(6=-8+b\)
\(b=14\)
これを①に代入して
\(y=-2x+14\)
解説と注意点
\(a\)にもいろいろな呼び方があって、問題文では「傾きは\(-2\)」と書いてくれないこともあります。
次の3つはすべて同じ意味(\(a = -2\))です。
特に「他の直線と平行」という言い方は、忘れやすいので注意してください。
「平行=傾きが等しい」という意味です。
たとえば、次のような問題文で出題されます。
直線\(y=-2x+4\)と平行で、点\((4, 6)\)を通る直線を求めなさい。
この場合、
直線\(y=-2x+4\)と平行
⇒直線\(y=-2x+4\)と傾きが同じ
⇒傾きは\(-2\)
と考えてください。
一次関数(\(y=ax+b\))(直線)の式を考えるときの考え方
一次関数(直線)の式を求めたいときは、次のように発想を切り替える
「一次関数(直線)の式を求めたい」⇒「条件を2つ探す(点2つ、\(a\)と点1つ、\(b\)と点1つ」
一次関数の式を決めるには、\(a\)(傾き・変化の割合)と \(b\)(切片)の 2つの未知数 を決定しなければなりません。
そのため、式を確定させるためには 必ず2つの条件 が必要になります。
出題パターンは主に次の3つに分類されますが、大きな視点で見ればすべて「条件が2つ」という点で共通しています。
- パターン1:
「傾き(\(a\))」と「通る1点の座標」 \(\rightarrow\) 条件2つ - パターン2:
「切片(\(b\))」と「通る1点の座標」 \(\rightarrow\) 条件2つ - パターン3:
「通る2点の座標」 \(\rightarrow\) 条件2つ
「式の求め方がよく分からない…」と迷ってしまう人は、解法の手順以前に「条件を2つ見つけ出す」という最初のステップで見失っていることがほとんどです。
特に応用問題では、「式を求めてから、その式を使って交点や面積を計算する」という流れが基本になります。
式の決定で迷わない状態を作っておくことが、応用問題で焦らずに対処できるようになります。
演習問題で一次関数の式の求め方を網羅



どのパターンで出ても落ち着いて解けるように、
あえてパターンはばらばらにしています。
演習1
\(x=-2\)のとき\(y=1\)、
\(x=1\)のとき\(y=-5\)である一次関数の式を求めなさい。
解説
求める直線の式を\(y=ax+b\)とおくと
\(1=-2a+b\)…①(\(x=-2,y=1\)を代入)
\(-5=a+b\)…②(\(x=1,y=-5\)を代入)
①-②を計算すると
\(6 = -3a \\ a= -2\)
①に\(a\)の値を代入すると
\(1=-2 \times (-2) +b \\ 1=4+b \\ b=-3 \)
よって求める直線の方程式は
\(y=-2x-3\)
演習2
切片が3で、点(-1,-2)を通る直線の式を求めなさい。
解説
切片3
⇒\(y=ax+3\)とおくと
\(-2=-a+3\)(\(x=-1,y=-2\)を代入)
\(a=3+2 \\ a=5\)
よって求める直線の方程式は
\(y=5x+3\)
演習3
傾きが4で、点(2, 6)を通る直線の式を求めなさい。
解説
傾き4
⇒\(y=4x+b\)とおくと
\(6=4 \times 2+b\)(\(x=2,y=6\)を代入)
\(6=8+b \\ b=-2\)
よって求める直線の方程式は
\(y=4x-2\)
演習4
変化の割合が3で、\(x=3\)のとき\(y=4\)である一次関数の式を求めなさい。
解説
変化の割合と傾きは同じ値
変化の割合が3
⇒\(y=3x+b\)とおくと
\(4=3 \times 3+b\)(\(x=3,y=4\)を代入)
\(4=9+b \\ b=-5\)
よって求める直線の方程式は
\(y=3x-5\)
演習5
2点(0, 2) , (1, 3)を通る直線の式を求めなさい。
解説
求める直線の式を\(y=ax+b\)とおくと
\(2=b\)…①(\(x=0,y=2\)を代入)
\(3=a+b\)…②(\(x=1,y=3\)を代入)
②に\(b=2\)を代入すると
\(3 =a+2 \\ a= 1\)
よって求める直線の方程式は
\(y=x+1\)
演習6
2点(-1, 6) , (2, 0)を通る直線の式を求めなさい。
解説
求める直線の式を\(y=ax+b\)とおくと
\(6=-a+b\)…①(\(x=-1,y=6\)を代入)
\(0=2a+b\)…②(\(x=2,y=0\)を代入)
①-②を計算すると
\(6=-3a \\ a=-2\)
①に\(a\)の値を代入すると
\(6=-(-2)+b \\6 = 2+b \\ b=4\)
よって求める直線の方程式は
\(y=-2x+4\)
演習7
点(2,3)を通り、直線\(\displaystyle y = \frac{1}{2}x+1\)と平行な直線を求めなさい。
解説
平行な2直線の傾きは同じ
直線\(\displaystyle y = \frac{1}{2}x+1\)と平行
⇒傾きが\(\displaystyle \frac{1}{2}\)
\(\displaystyle y=\frac{1}{2}x+b\)とおくと
\(\displaystyle 3=\frac{1}{2} \times 2 +b\)(\(x=2,y=3\)を代入)
\(3=1+b \\ b=2\)
よって求める直線の方程式は
\(\displaystyle y=\frac{1}{2}x+2\)
演習8
下図の直線の式を求めなさい。


解説
求める直線の式を\(y=ax+b\)とおくと
\(2=2a+b\)…①(\(x=2,y=2\)を代入)
\(0=-2a+b\)…②(\(x=-2,y=0\)を代入)
①-②を計算すると
\(2=4a \\ \displaystyle a=\frac{1}{2}\)
①に\(a\)の値を代入すると
\(2=1+b \\ b=1\)
よって求める直線の方程式は
\( \displaystyle y=\frac{1}{2}x+1\)
演習9
下図の直線の式を求めなさい。


解説
求める直線の式を\(y=ax+b\)とおくと
\(2=b\)…①(\(x=0,y=2\)を代入)
\(0=a+b\)…②(\(x=1,y=0\)を代入)
①より
\(b=2\)
②に代入して
\(0=a+2 \\ a = -2\)
よって求める直線の方程式は
\( y=-2x+2\)
一次関数の式の求め方のまとめ
一次関数の式の求め方は一見複雑に思えますが、「\(y=ax+b\)とおき、2つの条件を代入する」という点ではすべて同じです。
問題文から『傾き・切片・通る点』のうちどの2条件が与えられているかを整理する習慣をつけましょう。
焦らず丁寧に手順を踏めば、必ず確実に解けるようになります。
【今回の重要ポイント】
- 基本手順は「\(y=ax+b\)とおく」\(\rightarrow\)「判明している条件を代入する」
- 条件は主に3パターン(「通る2点」「切片と1点」「傾きと1点」)に整理できる
- 「平行=傾きが同じ」「点\((0, b)\)は切片」など、問題文の表現の言い換えに注意する
【次にやってみよう】
この記事で扱った例題を、まずはノーヒントで紙に書いて解き直してみましょう。
正しく解けることを確認したら、文章題やグラフ問題など、多様な形式の演習問題にチャレンジしてみてください。


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