「解説を読んだらわかるのに、自分で問題を解くと解き方がわからない」
そんな経験、ありませんか?
数学では、「求めたいものから逆算して方針を立てる」という考え方がとても大切です。
実は、数学が得意な人は、この“逆算思考”を自然に使っています。
この記事では、「どういう順序で考えれば、数学でよく使う逆算の考え方が身につくのか」について、くわしく解説していきます。
逆算の考え方とは?
考え方の要点
解説
数学の問題では、条件が書いてあるので、「どの条件を使うか」というところから考え始める人が多いと思います。
しかし、条件はたくさんあることが普通で、使う順序も違います。
だから、公式を一度使うだけの簡単な問題なら条件から考えてもいいのですが、難易度が上がると何をどこから使えばいいのか混乱してしまうのです。
そのため、求めたいものをスタートにして考えると、何をどの順序で考えればいいのかが整理しやすくなります。
例題で逆算の考え方を確認しよう
理解のポイント
解説
「底辺2、高さ4の三角形の面積を求めなさい」という問題を考えます。
これは、三角形の面積の公式に当てはめて
2 × 4 ÷ 2 = 4
と求めることができます。
このような公式を一度使うだけの問題では、逆算する必要はありません。
次に、下の図の三角形の面積を求める場合を考えてみます。

このような問題になると、「どうやって考えたらいいの?」と思う人が増えると思います。
ここでこそ、逆算の考え方が役立ちます。
求めたいものから、何が必要かを考えていきます。
- 求めたいものが何かを考える
今回、求めたいものは「三角形の面積」 - 求めたいものを計算するための公式、必要な情報を考える
面積の公式は(底辺)×(高さ)÷ 2
なので、底辺、高さが必要
⇒底辺:OA、高さ:APと見る - 条件から必要な情報を読み取る
- 底辺OAは\(x\)座標から2とわかる
- 高さAPは点Pの\(y\)座標
⇒\(y=2x\)に\(x\)=2を代入して\(y\)座標を求める
これを解説に起こすと、次のようになります。
(解説)
点Aの座標が(2, 0)なので
OA = 2
点Pの座標は、\(y=2x\)に\(x=2\)を代入して
点P(2, 4)
よって、AP = 4
求める面積は
(底辺)×(高さ)÷ 2
= 2 × 4 ÷ 2
= 4

見てわかる通り、解説の流れと思考の流れが一致していません。
実は、考える流れと書く流れは一致しないことが多いです。
- 考えるとき
⇒「求めたいもの」から逆にたどる - 書く(説明する)とき
⇒「与えられた条件」から順に進める
という違いがあるからです。
この違いがあるので、「解説は理解できるけど、問題が解けない」ということが起こってくるのです。

「基本問題は解けるけど、応用問題が解けない」という人のほとんどが、ここでつまずいています。
逆算の考え方を身につけるための習慣
考え方の要点
解説
いきなり、逆算の考え方を身に付けるのは難しいと思いますが、すぐにできる習慣が1つあります。
それは、わからない問題があったときに、「どうやって考えればいいのか?」ではなく、「どこから考え始めればいいのか?」という視点で解説を見るようにすることです。
考え始めが正しければ、後は順に論理を展開していけば、方針が何となく見えてきます。
一番大切なのが、最初の考え始めの部分なのです。
それを繰り返していけば、少しずつ“逆算思考”の感覚が身についていきます。
おわりに
数学では、「どこから考え始めるか」を意識するだけで、問題の見え方が変わります。
逆算思考は、求めたいものをゴールに置いて、そこまでの道をたどる考え方です。
はじめはうまくいかなくても、「どこから考えればよかったか?」を意識して解説を見るだけで、
少しずつ“解き方の型”が身についていきます。
この逆算思考は、関数だけでなく、図形や文章題にも使える考え方です。
このシリーズでは、関数の問題のどの場面で逆算思考を使うと整理しやすいのか、紹介していきます。

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