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一次関数2点から式を求める2つの解法を徹底比較!【中2数学】

中2の関数(一次関数)

一次関数の「与えられた2点から式を求める問題」は、必ず解けるようにしたい最重要テーマです。

解き方には「連立方程式を使う」と「変化の割合を考える」の2つがあり、どちらを選ぶべきか迷いませんか?

本記事では、この2解法の本質的な関係と、それぞれのメリット・デメリットを徹底比較します。

テストで確実に点数を取るための結論と、一次関数の本質を掴むための学習法を紹介します。

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2点から直線を求める問題にはどんな解法があるの?

2点から直線を求める問題ってどんな問題?

「2点から直線を求める問題」とは、次のような問題です。

例題

2点(-1, 3),(2, 9)を通る直線の式を求めなさい。

直線(一次関数)の式を求める問題で、一番オーソドックスなタイプです。

2点から直線を求める問題の2種類の解法

問題集などで見かける解法としては、次の2種類があります。

  • 求める関数を\(y=ax+b\)とおく
    ⇒通る2点を代入して連立方程式を解く
  • 2点の情報から変化の割合を計算する
    ⇒定数項だけが文字の形で式をおいて、どちらかの点を代入

ここから、それぞれの具体的な解法と、それぞれの関係について見ていきます。
問題は冒頭の例題で考えます。

最初に\(y=ax+b\)とおく解法を具体的に

求める式を\(y=ax+b\)とおくと

\(3=-a+b\)…①(\(x=-1,y=3\)を代入)
\(9=2a+b\)…②(\(x=2,y=9\)を代入)

①-②を計算すると
\(-6=-3a \\ a = 2\)

①に\(a\)の値を代入して
\(3=-2+b \\ b= 5\)

よって求める直線の式は
\(y=2x+5\)

変化の割合から求める方法を具体的に

\(\displaystyle \text{変化の割合} = \frac{9-3}{2-(-1)}=2\)
(※わかりにくければ補足を参照してください)

したがって、求める直線の式は
\(y=2x+b\)とおける

\(9=2 \times 2 +b \\ 9 =4 +b \\ b=5\)

よって、求める直線の式は
\(y=2x+5\)


【補足】

変化の割合は次の計算で求められます。

\(\displaystyle \text{変化の割合} = \frac{\text{yの増加量}}{\text{xの増加量}}\)

2点(-1, 3),(2, 9)を考えるので
\(x\)の増加量\(=2-(-1)\)
\(y\)の増加量\(=9-3\)

と計算できるので、

\(\displaystyle \text{変化の割合} = \frac{\text{yの増加量}}{\text{xの増加量}} = \frac{9-3}{2-(-1)}\)

となります。

2つの解法は、本質的には同じもの

最初に\(y=ax+b\)とおく解法をもう一度見てみます。
あえて、定数項や\(a\)の係数をまとめずに計算していきます。

\(3=-a+b\)…①
\(9=2a+b\)…②

②-①を計算すると
\(9-3=2a-(-a) \\ {2-(-1)}a=9-3 \\ \displaystyle a = \frac{9-3}{2-(-1)}\)

となります。

一方、変化の割合は次のように計算しました。
\(\displaystyle \text{変化の割合} = \frac{9-3}{2-(-1)}\)

まったく同じ式になっていることがわかります。
つまり、2つは\(a\)の部分を求めるために、同じ計算をしているのです。

\(b\)の求め方も、どちらも通る点を代入して求めているので、同じことをしています。

結局、2つの解き方は、本質的には同じものと言えるのです。

2つの解き方のメリットを比較

2つの解き方には、それぞれ明確にメリット・デメリットがあります。

解き方メリットデメリット
\(y=ax+b\)とおいて連立・解き方がシンプル
・「一般系⇒代入」の考え方は、一次関数以外にも適用可
・計算量が多い
・グラフと式の関係性が見えづらい
変化の割合を計算・計算手順が少ない
・グラフと式の関係性が見えやすい
・変化の割合の計算を間違えやすい
・一次関数限定の考え方

どっちの解法がいい?

\(y=ax+b\)とおく解き方がおすすめ

どちらの解き方にもよいろころはありますが、テスト中はどうしても普段よりも緊張するので、手順を忘れたり、計算をミスしたりしやすいです。

そのため、手順がシンプルで、より計算ミスしにくい方法を選択する方が、確率的に点数は高くなります。

また、「一般系でおく⇒代入」の考え方は、他の関数にも応用できることもおすすめの理由として大きいです。
高校受験では、比例・反比例、一次関数、二次関数(\(y=ax^2\))の式のどれかを求めなければならないかは、テストのときにならないとわかりません。
できるだけシンプルな方法で整理しておく方がよいです。

とはいえ変化の割合で求める解き方も大事

関数の学習においてグラフと式の関係を掴むことは最重要です。

変化の割合による解法を理解することで、傾きとは何か、\(a\)がグラフにどう影響するかという一次関数の本質が理解できます。

一意関数の式の求め方を学ぶ前に、グラフの描き方や、グラフの読み取り方を学習していると思います。
変化の割合から考える解き方は、その延長線上にあると思ってください。
選択する解き方というよりは、理解しておいてほしい解き方という位置づけになるかと思います。

おわりに

この記事では、「2点から直線を求める」2つの解法を比較しました。

結論として、「\(y=ax+b\)とおき、連立方程式で解く方法」は、手順のシンプルさと他の関数への応用力から、メインの解法としておすすめです。

しかし、数学の学習において最も大切なのは、「式」と「グラフ」の関係を掴むことです。
変化の割合による解法が教えてくれる傾きの本質は、決して無視できません。

メインは連立方程式で解き、変化の割合で概念を補強する。このハイブリッドな学習法で、一次関数の理解を完璧にしてください。

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