「\(x\)軸に平行な直線が\(y\)=〇で、\(x\)軸に垂直な直線が…」
そんなふうに迷った経験はありませんか?
一次関数以外でも、グラフが直線になる式に「\(x\)=〇」「\(y\)=〇」があります。
とても重要な内容なので、意味をきちんと理解しておく必要がありますが、塾で教えていたころは、単純に暗記で済ませようとする人も多かったです。
この記事では、一次関数以外の直線の式である「\(x\)=〇」「\(y\)=〇」について
- 意味
- グラフの描き方
- \(x\)軸、\(y\)軸との関係性
- 学習のポイント
をていねいに解説します。

ここからは、説明の都合上「\(x\)=〇」ではなく、「\(x=a\)」「\(y=b\)」の表記を使います。
一次関数の式「\(y=ax+b\)」の\(a\)、\(b\)とは別物なので、混同しないように注意してください。
\(x=a\)、\(y=b\)の意味
\(x=a\) の意味
式 \(x=a\)(\(a\)は定数)は「\(x\) の値がいつも\(a\)である」ことを表します。
つまり、\(y\) の値がどんな数でも、対応する\(x\)は常に同じ\(a\)です。
たとえば、\(x=2\)という式があったとき、この式を満たす点の組み合わせは、
\(\displaystyle (2,0)、(2,3)、(2,-1)、(2, \frac{1}{2})\)…
のようになります。
\(y=b\) の意味
式 \(y=b\)(\(b\)は定数)は「\(y\) の値がいつも\(b\)である」ことを表します。
つまり、\(x\) の値がどんな数でも、対応する\(y\)は常に同じ\(b\)です。
たとえば、\(y=1\)という式があったとき、この式を満たす点の組み合わせは、
\(\displaystyle (0,1)、(-1,1)、(3,1)、(-\frac{1}{2},1)\)…
のようになります。
\(x=a\)、\(y=b\)のグラフ
グラフの描き方
グラフを描くときは、一次関数の直線のときと同様、
- 式を満たす2点をとる
- 2点を通る直線を引く
の手順を踏めば、グラフを描くことができます。

一次関数のグラフの描き方は、この基本を一次関数に合わせて最適化したものです。
ただし、「\(x=a\)」や「\(y=b\)」のように、\(x\)、\(y\)のどちらか一方しか条件として与えられないため、もう一方の値は自分で適当に決める必要があります。
では、具体的な例で確認してみましょう。
例題1
\(x=3\)のグラフを描いてください。
解説
- \(x\)座標が3である点、(3 , 1)、(3,-1)をとる
- 2点を通る直線を引く

①の座標の選び方は、とりやすい点を適当に選んでいます。

例題2
\(y=-1\)のグラフを描いてください。
解説
- \(y\)座標が-1である点、(1 ,-1)、(2,-1)をとる
- 2点を通る直線を引く

\(x\)軸、\(y\)軸との関係性
見ればわかるように、
- 「\(x=a\)」のグラフ
- \(x\)軸と垂直
- \(y\)軸と平行
- 「\(y=b\)」のグラフ
- \(x\)軸と平行
- \(y\)軸と垂直
になっています。

定期テストでは
「\(x=a\)のグラフは(①)軸と平行」
のように聞かれることがあります。
ただし、こうした問題に答えるために、グラフと軸の関係性を丸暗記するのはおすすめしません。
学習のポイント
\(x=a\)、\(y=b\)のグラフと軸の関係性を考えたいときは、グラフを描いて確認するといいです。
「\(x=a\)が\(y\)軸に平行、\(y=b\)が\(x\)軸に平行」のように文字のみで覚えると、試験当日など焦ったときに、記憶が出てこないことはよくあります。
文字だけで覚えようとすると、xとyの関係が直感的に把握できず、混乱しやすくなります。
たとえば、「\(x=a\)のグラフは(①)軸と平行」のような問題が出たときは、適当に値を設定して(例:\(x=1\)など)グラフを描いてみるのがよいです。

少し手間に感じるかもしれませんが、描く線は「\(x\)軸、\(y\)軸、直線の式」の計3本だけなので、短時間で描けます。
しばらく描いているうちに、頭の中でグラフをイメージできるようになってきます。
おわりに
今回の記事では、一次関数でない直線の式「\(x=a\)、\(y=b\)」について取り扱いました。
- \(x=a\)は「\(y\)がいくつでも常に\(x\)が\(a\)」という意味
- \(y=b\)は「\(x\)がいくつでも常に\(y\)が\(b\)」という意味
- グラフと軸の位置関係はグラフを描いて考える
ということがわかれば、この範囲は大丈夫です。
慣れないうちは混同するかもしれませんが、一つずつグラフを描いて感覚をつかんでいくと、頭の中もすっきりしてくると思います。
がんばってください。
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