一次関数の問題でよく出てくる変域。
「\(x\)の値を式に入れて、\(y\)の範囲を出すだけでしょ?」と思っていませんか?
たしかに、定期テストではそれで正解が出せます。
でも、本当のところは、グラフ上で\(x\)と\(y\)がどう対応しているかを考える単元です。
変域をしっかり理解しておくと、関数の全体像がぐっとつかみやすくなります。
そして、その基礎は、中学の一次関数の変域の問題にすべて詰まっています。
それくらい大事な内容です。
今回の記事では、
- 変域の問題の本質的な理解
- 定期テスト対策
に分けて、わかりやすく解説します。
一次関数|変域の本質的な理解
変域とは
かんたんに言うと、文字がとる値の範囲のことです。
つまり、「この文字はこの範囲で考えてくださいね」という決めごとです。
たとえば、
\(x\) の変域が「\(1 ≦x≦ 5\)」
⇒「\(x\) は1 から 5までの間の値で考えます」
という意味です。
出題形式は、
\(x\)の変域が与えられて、そのときの\(y\)の変域を求める問題
が多いです。
\(y\)の変域を考える手順
\(y\)の変域は、次の手順で考えることができます。
- 一次関数のグラフを点線で描く
- \(x\)の変域のはしの点をとり、変域内のグラフを実線でなぞる
- グラフから\(y\)の変域を読み取る
次の例をもとに考えてみます。
\(\displaystyle y= -\frac{3}{4}x+1\)
この一次化関数の\(x\)の変域が\(-1≦x≦2\)のとき、\(y\)の変域を求めます。
①一次関数のグラフを点線で描く
まず、簡略なグラフを描きます。
次の手順で描くといいです。
(全部フリーハンドでOK)
- \(x\)軸、\(y\)軸をとる
- 切片をとる
- 傾きからもう1点をとる
- 2点を点線で結ぶ


グラフの描き方がわかりやすいように、切片と点( 4, -2)を描きこみましたが、実際は、紛らわしいのでメモ書き程度でいいです。
※グラフの描き方は、こちらの記事を参考にしてください。
②\(x\)の変域のはしの点をとり、変域内のグラフを実線でなぞる
グラフに、変域のはしをとり、変域の範囲内を実線でなぞります。

一次関数の式に、\(x\)の変域のはしの点を代入して、そのときの\(y\)を計算し、それをグラフに書き入れます。
- \(x=-1\)のとき
\(\displaystyle y= -\frac{3}{4} \times (-1)+1=\frac{7}{4}\) - \(x=2\)のとき
\(\displaystyle y= -\frac{3}{4} \times 2+1=-\frac{1}{2}\)
そうすると、グラフのどの部分が変域内かわかり、必要な数値がすべてそろいます。

※一次関数の式と、\(x\)の値から\(y\)の値を求める方法については、一次関数の式からx・yを求める方法を参考にしてください。
③グラフから\(y\)の変域を読み取る
ここまでできたら、後は読み取るだけです。
実践部分の\(y\)の範囲がどうなっているのか、\(y\)軸を読みます。


この読み方がしっかりできるようになれば、グラフさえ描いてあれば、どんな関数でも変域を読みることができるようになります。
例題で考えてみよう
例題1
\(y=2x+3\)
\(x\)の変域が\(-2≦x≦4\)のときの\(y\)の変域は?
解説
(解説)
例題2
\(\displaystyle y=\frac{1}{3}x-2\)
\(x\)の変域が\(-3≦x≦1\)のときの\(y\)の変域は?
解説
(解説)
一次関数|変域の定期テスト対策の小技
一次関数の変域を出す場面では、グラフを描かなくても変域を出すことはできます。
一次関数は、一定割合で増えるか、減るかしかしないからです。
- \(x\)の範囲のはしの\(y\)座標を求める
- 不等式が成り立つように、\(y\)の値を当てはめる
先ほどの例であれば、
\(\displaystyle y= -\frac{3}{4}x+1\)
の\(-1≦x≦2\)のとき、\(y\)の変域は、
まず、はしの点が
- \(x=-1\)のとき\(\displaystyle y= \frac{7}{4}\)
- \(x=2\)のとき\(\displaystyle y= -\frac{1}{2}\)
\(\displaystyle -\frac{1}{2}\)より\(\displaystyle \frac{7}{4}\)の方が大きいことを考えて
\(y\)の変域は\(\displaystyle -\frac{1}{2} ≦y≦\frac{7}{4}\)
明らかにグラフを描くよりも手順は少ないです。
だから、「定期テストで高得点をとる」だけが目的ならこっちの方がはやいこともあります。

ただし、この方法は「一次関数」だけに通用する限定的な考え方です。
高校以降の関数では、グラフで考えないと理解できない問題が多くなります。
今のうちに「グラフを使って変域を考える力」をつけておくことが、後の勉強をスムーズにする近道です。
だから、今回の方法を使うとしても、あくまで定期テスト対策と割り切ってください。
おわりに
変域の問題を考えるときは
- 一次関数のグラフを点線で描く
- \(x\)の変域のはしの点をとり、変域内のグラフを実線でなぞる
- グラフから\(y\)の変域を読み取る
の順で考えてください。
どうしても定期テストまで時間がないときは、はしの点を代入して、\(y\)の大小関係が合うように不等号を書くだけでも構いません。
ただ、その理解だと高校以降の勉強にはついていけないということは、頭の片隅にでも置いてください。
何度もグラフを描いて考えていくと、手順も定着すると思います。
がんばってください。
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