「一次関数って\(y=ax+b\)でしょ?」
公式は知っていても、\(a\)や\(b\)が実際に何を意味しているのか、いまいちイメージできないという人は多いのではないでしょうか。
一次関数は、公式だけを丸暗記してしまうと、少し問題の形が変わっただけでつまずいてしまいがちな単元です。
でも、「関数とは何か」という基本から順を追って理解すれば、決して難しいものではありません。
この記事では、関数の意味からスタートし、水槽や貯金額といった身近な例を使いながら、一次関数の式\(y=ax+b\)の\(a、b\)が表す意味、そして比例との違いや、学習する目的まで、イメージでしっかりつかめるように解説していきます。
一次関数の定義を、関数の意味から考えてみよう
関数のうち、\(y\)が\(x\)の一次式で表される関数のこと
いまいちイメージが掴みづらいと思うので、関数の意味から順を追って考えてみます。
そもそも「関数」って何?
関数は「\(x\)を1つ決めると\(y\)がただ1つに決まるときの決まり方のルール」のことです。
たとえば、「\(y\)は\(x\)の2倍」のようなルールを考えます。
このとき\(x\)が\(2\)なら\(y\)は\(4\)、\(x\)が\(-3\)なら\(y\)は\(-6\)のように、\(x\)を1つ決めると\(y\)も1つに決まります。
だから、このルールは関数と言えます。
「関数」を式であらわしたものが「関数の式」
「\(y\)は\(x\)の2倍」というルールを式の形にすると、次のように表せます。
\[y=2x\]
このように関数を式のかたちで表したものを関数の式と呼びます。
関数の式を表しておくと、代入するだけで\(x\)や\(y\)の値を計算したり、複雑なことを計算で考えられるようになります。
一次関数とは?定義をわかりやすく解説
ここで「\(y\)は\(x\)を3倍したものに2を加えたもの」というルールを考えます。
\(x\)が\(1\)なら\(y\)は\(5\)のように、\(x\)を1つ決めると\(y\)も1つに決まるので、これも関数です。
これを式のかたちにすると、次のように表せます。
\[y=3x+2\]
この式で、\(y\)は\(x\)の一次の項(\(3x\))と定数項(\(+2\))からなる一次式で表されています。
このように、関数の中で、\(y\)が\(x\)の一次式で表される関数のことを一次関数と呼ぶのです。
「\(y\)が\(x\)を何倍かしたものと、定数の和になっている関数」と思ってもらうとイメージが掴みやすいと思います。
一次関数を具体例で確認してみよう
ここからは、日常のどういうことが一次関数で表されるかを見ていって、一次関数のイメージを深めてみます。
例1)
15L入っている水槽に、1分間に2Lずつ水が増えるとき、\(x\)分後の水の量\(y\)Lの関係
水の量は、次の式で求められます。
\[\text{(水の量)}=\text{(変化した量)} +\text{(最初から入っている量)}\]
- (水の量)
\(y\)L - (変化した量)
\(2x\)L- 1分に2L入るので、\(x\)分後は\(2x\)L
- (最初から入っている量)
\(15\)L
よって、\(x\)と\(y\)についての等式は次のように表せます。
\[y=2x+15\]
これは\(y\)が\(x\)の一次式で表されているので一次関数です。
定数項の\(15\)は最初に入っていた水の量を表しています。
時間がどれだけ経過しても、「最初に\(15\)L入っていた」ということは変わらないので、この値は\(x\)がいくつになっても変わりません。
\(x\)の係数の\(2\)は、時間(\(x\))が増えたときに水の量(\(y\))がどれだけ変化するかを表しています。
\(x\)が1増加すると、\(y\)は\(x\)の係数である\(2\)ずつ増加していきます。
例2)
貯金箱に 5,000円 入っていて、毎日ジュース代として 150円 ずつ使うときの、\(x\)日後の貯金額\(y\)円の関係
貯金額は、次の式で求められます。
\[\text{(貯金額)}=\text{(変化した金額)} +\text{(最初から入っている金額)}\]
- (貯金額)
\(y\)円 - (変化した金額)
\(-150x\)円- 1日に150円使うので、\(x\)日後は\(150x\)円
使って貯金額から減っていくので、符号はマイナスになることに注意
- 1日に150円使うので、\(x\)日後は\(150x\)円
- (最初から入っている金額)
\(5000\)円
よって、\(x\)と\(y\)についての等式は次のように表せます。
\[y=-150x+5000\]
これも\(y\)が\(x\)の一次式で表されているので一次関数です。
最初の貯金額を表す定数項(\(+5000)\)は時間経過(\(x\)の変化\)では変わらず、貯金額\(y\)がどれぐらい変化するかは\(x\)の係数\((-150)\)によって決まっていて、\(x\)が1増加すると、\(y\)は\(150\)ずつ減っていきます。
イメージが固まったところで、もう一度、一次関数の式の話に戻ります。
一次関数の一般形\(y=ax+b\)の意味
- 一次関数の式の一般形は\(y=ax+b\)と表される
- \(a\)は、「\(x\)が1増加したときの\(y\)の変化量」を表し、「変化の割合」と呼ばれる
- \(b\)は、「\(x\)が0のときの\(y\)の値」を表すスタートの値
一次関数の式の一般形
これまで見てきた、次の3つの式はすべて一次関数を表しました。
- \(y=\color{red}{3}x+\color{blue}{2}\)
- \(y=\color{red}{2}x+\color{blue}{15}\)
- \(y=\color{red}{-150}x+\color{blue}{5000}\)
ここで、どんな数字でも当てはめられるように、赤字で示した\(x\)の係数を代表して\(a\)、青地で示した定数項を\(b\)とおくと、次のように書き換えることができます。
\[y=ax+b\]
この式が、一次関数の一般形です。
もし、問題文で「\(y\)が\(x\)の一次関数」と言われたら、特にことわりを入れなくても、\(y=ax+b\)とおいて何の問題もありません。
一次関数\(y=ax+b\)の\(a\)は「変化の割合」を表す
これまで見てきた通りですが、\(a\)は「\(x\)が1増加したときの\(y\)の変化量」を表しています。
実際、\(y=3x+2\)の、\(x\)と\(y\)の値を表にとってみます。
\(y\)の値は、\(y=3x+2\)に\(x\)の値を代入すると求められます。
たとえば、\(x-1\)のときの\(y\)の値であれば、
\[y=3 \times (-1) +2\]
\[y=-1\]
のように求められます。
| \(x\) | \(-2\) | \(-1\) | \(0\) | \(1\) | \(2\) |
| \(y\) | \(-4\) | \(-1\) | \(2\) | \(5\) | \(8\) |
実際に、\(x\)が1増加するたび、\(x\)の係数である3ずつ\(y\)が増加していっていることがわかります。
このような「\(x\)が1増加したときの\(y\)の変化量」、言い換えると「\(x\)の増加量に対する\(y\)の増加量の割合」のことを、変化の割合と呼びます。
\(a\)は、「\(x\)が1増加したときの\(y\)の変化量」である変化の割合を表しているのです。
変化の割合は、一次関数の単元ではじめて出てきて、\(a\)と一致することもあってか誤解されがちですが、一次関数専用の考え方ではありません。
「\(x\)の増加量に対する\(y\)の増加量の割合」のことを変化の割合と呼びますが、その他の関数であっても「1増えたとき\(y\)はどれぐらい増えるんだろう」と考えるときは変化の割合を使います。
「変化の割合という考え方があって、一次関数の場合は\(x\)の係数が変化の割合になっている」
というぐらいの理解に留めておいてください。
「変化の割合は\(y=ax+b\)の\(a\)のこと」のような理解をしていると、中3で他の関数を学習するときに混乱のもとになるので、しっかり区別しておいてください。
一次関数\(y=ax+b\)の\(b\)は「スタートの値」を表す
これも見てきた通りですが、\(b\)は「\(x\)が\(0\)のときの\(y\)の値」を表していて、「\(y\)のスタートの値」を表していると考えてもらうと、イメージがすっきりすると思います。
もう一次関数を習ったことがある方は、「\(a\)が傾きで\(b\)が切片」と聞いたことがあると思います。
これも、変化の割合と混同しがちなのですが、傾き、切片は一次関数のグラフに使う呼び方です。
変化の割合は「\(x\)がの増加量に対する\(y\)の増加量」のことで、基本的には計算して求める値です。
今回の記事では、一次関数とその式の解説なので、傾き、切片の説明には触れません。
ここでは「傾き・切片はグラフに使う呼び方で、一次関数の式の呼び方ではない」という理解をしてもらえれば十分かと思います。
比例と一次関数の違い
中学校1年生で、比例の式\(y=ax\)を学習したと思います。
これも定数項はないですが、\(y\)が\(x\)の一次式で表されているので、一次関数と言えます。
実は、比例の式\(y = ax\) は、一次関数 \(y = ax + b\)で\(b = 0\)とした特別な場合のことなんです。
比例は、「スタートの値がゼロの一次関数」と考えるとすっきりするんじゃないかと思います。
一次関数を学ぶ目的とは?
関数を学ぶ目的の一つは、未来予測のツールを手に入れること
中学、高校の勉強で、関数はかなりのボリュームを占めます。
そのため、「何のために勉強するのか?」ということは、大半の人が考えたことがあると思います。
目的はいろいろあるのですが、大きな目的の一つが、「未来予測のツール」を手に入れることにあります。
たとえば、例で出てきた、ジュースを毎日買っていく状況を考えてください。
これが、どういう仕組みでお金が減っていっているかがわかっていないと、知らない間にどんどんお金が減っていき、気がついたらお金がなかった、ということになってしまいます。
逆に、もともといくら持っていて、どれぐらいのペースで減っていくかを把握して、式のかたちにまでできていると、たとえば、「5日後にはどうなっているか」「3000円を切るのは何日後か」のような未来のシミュレーションができるようになるのです。
もちろん、一次関数でシミュレーションできる範囲は限られますが、色々な関数を学んで使えるようになっていくと、世の中の複雑な事象のシミュレーションをとれるようになっていきます。
一次関数の学習は、その第一歩だと思ってください。
まとめ:一次関数の意味を振り返ろう
今回の記事のまとめは次の通りです。
- 関数は「\(x\)を1つ決めると\(y\)がただ1つに決まるときの決まり方のルール」のこと
- 関数の式は、関数を式のかたちで表したもの
- 一次関数は、関数の式が一次式で表される関数
- 一次関数の一般形は\(y=ax+b\)
- \(a\)は「\(x\)が1増加したときの\(y\)の変化量」を表し、変化の割合と呼ぶ
- \(b\)は「\(x\)が0のときの\(y\)のスタートの値」
- 変化の割合は、一次関数専用の考え方ではない
- 比例は、スタートの値がゼロの一次関数
- 関数学習の目的の一つは、未来予測のツールを手に入れること


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