一次関数は、中2数学で非常に重要な単元です。
式からグラフを描く方法や、グラフから式を読み取る方法を理解すると、テストだけでなく応用問題にも対応できます。
この記事では、切片や傾きの意味をふり返りながら、整数・分数どちらの傾きにも対応できるように、グラフの描き方・読み取り方を例題付きでわかりやすく解説します。
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【前回の解説記事を読みたい方はこちら】
- 一次関数のグラフで、傾き、切片がグラフ上でどういう動きをするかについてまとめました。
👉一次関数のグラフとは?傾き・切片の意味をわかりやすく解説
【演習問題を中心に進めたい方はこちら】
- 整数・分数どちらのタイプもふくめて、一次関数のグラフを実際に描いて練習できる演習記事です。
一次関数のグラフ:描き方の演習
一次関数のグラフを考えるための前提となる知識
一次関数の「式⇔グラフ」を考えるときに押さえておきたいポイントは次の3つです。
この特徴を使って、これから関数の式⇔グラフの関係を見ていきます。
しっかりおさえておきましょう。

グラフ上での変化と傾きの関係は、グラフを描いたり、関数の式を読み取ったりする上でとても重要です。
次の記事でまとめたので、理解を深めたいときは次の記事を読んでください。
👉一次関数の傾きをグラフで考えよう

「どうして一次関数のグラフは直線になるの?」、「傾き、切片って何?」という方は、こちらをお読みください。
👉一次関数のグラフとは?傾き・切片の意味をわかりやすく解説
一次関数のグラフの描き方(関数の式⇒グラフ)
一次関数のグラフを描く手順
解説
一次関数の式は直線です。
直線のグラフは、通る2点をとって直線で結ぶと引くことができます。
まず、いちばん考えやすい点は切片です。
ここを最初にとります。
次に、切片から右に移動した、\(x\)座標、\(y\)座標が整数の点を、傾きを使って考えます。
グラフ上での変化と傾きの関係は、
\( \displaystyle a = \frac{\text{上下の移動}}{\text{右への移動}}\)
と表せます。
たとえば、
- 傾き\(a=2\)
切片から右に1、上に2移動した点 - 傾き\(\displaystyle a = -\frac{3}{2}\)
切片から右に2、下に3移動した点
のように考えることができます。
これを使って2点目をとります。
2点目がとれたら、あとは2点を通る直線を引けば、関数のグラフが描けます。
例題で一次関数のグラフの描き方を見てみよう
例題1(一次関数のグラフの描き方:傾きが正の場合)
一次関数\(y=2x-3\)のグラフを描きなさい。
解説
- このグラフの切片は-3
点(0,-3)をとる - 傾きが\(\displaystyle 2= \frac{2}{1}\)
(傾きの分母)= 1
(傾きの分子)= 2
切片から右に1、上に2進んだ点をとる - 2点を結ぶ直線を引く
この手順で描くと、下図のような一次関数のグラフが描けます。

例題2
\(\displaystyle y= -\frac{3}{2}x-1\)のグラフを描きなさい。
解説
- このグラフの切片は 1
点(0, 1)をとる - 係数の前にマイナスがついているので、分子が負の数と考える
(傾きの分母)= 2
(傾きの分子)= -3
切片から、右に 2、下に 3、進んだ点をとる - 2点を結ぶ直線を引く
この手順で描くと、下図のような一次関数のグラフが描けます。


定期テストに限った話ですが、この方法でグラフが描けない場合があります。
それは、切片が分数のグラフです。
描けない理由と描き方を別記事でまとめましたので、次の記事をお読みください。
一次関数のグラフから関数の式の読み取り(グラフ⇒関数の式)
手順のコツ
解説
まず、わかりやすいところから見ていきます。
\(y\)軸を通る高さ(切片\(b\))はすぐにわかるので、ここを最初に読み取ります。
次に、切片から右に動いて\(x\)座標、\(y\)座標が整数の点を見つけます。
切片からその点まで、右にいくつ動いたか、上下にいくつ動いたかを読み取ります。
読み取りできたら、次の式で傾きを計算できます。
\(\displaystyle \text{傾き} a = \frac{\text{上下の移動量}}{\text{右への移動量}}\)
これで、\(a\)、\(b\)の値がわかるので、\(y=ax+b\)の式に当てはめれば関数の式がわかります。
例題で一次関数の式の読み取り方を見てみよう
例題3(傾きが整数)
次のグラフの関数の式を求めなさい。

解説
- 切片を読み取る
⇒切片は-1 - 切片から右に移動して、\(x\)座標、\(y\)座標が整数の点を見つける
- 右への移動量、上下の移動量を読み取る
⇒右へ 1、下に 3 - \(\displaystyle \text{傾き}=\frac{\text{上下の移動量}}{\text{右への移動量}}\)
から、傾きを計算する
\(\displaystyle \text{傾き}=\frac{-3}{1}=-3\)
よって関数の式は
\(y=-3x-1\)

例題4(傾きが分数)
次のグラフの関数の式を求めなさい。

解説
- 切片を読み取る
⇒切片は-2 - 切片から右に移動して、\(x\)座標、\(y\)座標が整数の点を見つける
- 右への移動量、上下の移動量を読み取る
⇒右へ 4、上に 1 - \(\displaystyle \text{傾き}=\frac{\text{上下の移動量}}{\text{右への移動量}}\)
から、傾きを計算する
\(\displaystyle \text{傾き}=\frac{1}{4}\)
よって関数の式は
\(\displaystyle y=\frac{1}{4}x-2\)

おわりに
この記事では、一次関数の「式⇔グラフ」の関係を学びました。
まず切片をとり、傾きを使ってもう1点を考えると、簡単にグラフを描けます。
また、グラフから切片と傾きを読み取れば、関数の式もわかります。
これらの基本を押さえておくと、応用問題にもスムーズに取り組めます。
一次関数の式とグラフの関係が見えるようになると、一次関数の見え方もぐっと変わります。
慣れるまでは大変だと思いますが、演習を重ねると、だんだんできるようになってきます。
がんばってください。
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