一次方程式の文章題の中でも、「速さ」が絡む問題は多くの中学生がつまずくポイントです。
「道のり・速さ・時間」の3つの情報をどう整理すればいいのか、そして何を文字\(x\)でおけばよいのか迷ってしまう人も多いのではないでしょうか。
実は、速さの文章題には「時間を\(x\)でおく」パターンと「道のりを\(x\)でおく」パターンの2通りの解き方があり、それぞれで作る等式が変わります。
どちらも仕組みを理解しておけば、問題文の指示に応じて柔軟に対応できるようになります。
この記事では、家から学校までの道のりを求める例題を使いながら、2通りの解き方を表を交えて丁寧に解説していきます。
- 速さの文章題における「1あたり・基準の数・結果の数」の整理の仕方
- 「時間」を\(x\)でおいて「道のり」の等式をつくる解き方
- 「道のり」を\(x\)でおいて「時間」の等式をつくる解き方
- なぜ一般的に「時間を\(x\)でおくと計算が楽」と言われるのか、その理由
- 文字の置き方によって、最終的な答えの出し方が変わる注意点
- 表を使って条件を整理し、等式を組み立てるステップ
例題で一次方程式の速さの文章題の2通りの解き方を確認
例題
Aさんの家から学校まで900mある。
Aさんは、家からP地点までを分速60mで歩き、P地点から学校までを分速100mで走った。
歩いた時間と走った時間の合計は11分だった。
このとき、P地点から学校までの道のりを求めなさい。
解き方①:時間を\(x\)でおいた場合の解答と考え方
- 【解答】
-
P地点から学校まで走った時間を\(x\)分とおくと、家からP地点まで歩いた時間は\((11-x)\)分と表せる。
Aさんの家から学校までの道のりが900mなので
\[60(11-x)+100x=900\]
これを解いて
\[x=6\]
P地点から学校まで歩いた時間が6分なので、
\[100 \times 6 = 600\]
P地点から学校までの道のりは600m

等式をつくる練習なので、途中計算は省略しています。
- 【考え方】
-
問題文で出てくるのは次の3つなので、これを踏まえて考えます。
- 1あたり:速さ(分速)
- 基準の数:時間(分)
- 結果の数:道のり(m)
- 何を文字\(x\)でおくか決める
-
道のりを求めるように指示されていますが、その道のりを走った時間を\(x\)分とおきます。
(理由は後述します) - 文章中から「等しい関係」を見つける
-
文章中で「等しい関係」がある箇所は
- Aさんの家から学校まで900m(道のりの関係)
- 歩いた時間と走った時間の合計は11分(時間の関係)
の2つです。
「時間」を\(x\)で置いてあるため、今回は「道のり」の関係を使って式を組み立てます。
- 「等しい関係」を等号を使って書き下す
-
家からP地点までの道のりとP地点から学校までの道のりを合計すると家から学校までの道のりになるので、等号を使って文章を書き下すと
\[\text{(家からP地点までの道のり) + (P地点から学校までの道のり) = (家から学校までの道のり)}\]
という式が作れます。
- 条件を整理して、必要な情報を文字や数で表す
-
道のりは、\(\text{(速さ)} \times \text{(時間)}\)で表されます。
P地点から学校までは、速さが分速100mで、時間が\(x\)分です。
よって、P地点から学校までの道のりは\(100x\)mと表せます。家からP地点までは、分速60mで歩いています。
歩いた時間はわかりませんが、P地点から学校まで走った時間が\(x\)分と、合計で11分かかったという情報から文字でおくことができます。たとえば、「P地点→学校」の時間が3分、「家→学校」の時間が11分だった場合、「家→P地点」の時間は
\[11-3=8\]
のように、全体から「P地点→学校」の時間を引いて8分と求めることができます。
「P地点→学校」の時間が\(x\)個になっても考え方は変わらないので、「家→P地点」の時間は、同じように全体から走った時間を引いて、\[(11-x)分\]
とおくことができます。
歩いた道のりは、走った道のりと同じように、\(60(11-x)\)mと表せます。
この文章題の登場人物である、「速さ」「時間」「道のり」を左に、上に「家→P地点」「P地点→学校」「家→学校」をとった表を書いてまとめます。
スクロールできます登場人物 家→P地点 P地点→学校 家→学校 速さ 分速\(60\)m 分速\(100\)m 時間 \((11-x)\)分 \(x\)分 \(11\)分 道のり \(60(11-x)\)m \(100x\)m \(900\)m 


2個のものの合計がわかっていて、片方を\(x\)でおいたときに、もう片方を\((\text{合計}-x)\)とおくことはよくあります。
必ずできるようになっておいてください。 - 整理した条件と「等しい関係」を使って等式を組み立てる
-
\[\text{(家からP地点までの道のり) + (P地点から学校までの道のり) = (家から学校までの道のり)}\]
の式に、整理した条件を当てはめて
\[60(11-x)+100x=900\]
という等式がつくれます。
- 最後に置いた文字と求めたいものが一致しているかチェック
-
最初に時間を\(x\)分とおきましたが、問題文で指示されているのは道のりなので、道のりを\(\text{(速さ)} \times \text{(時間)}\)の式で求めて答えとします。
解き方②:道のりを\(x\)でおいた場合の解答と考え方
- 【解答】
-
P地点から学校まで走ったきょりを\(x\)mとおくと、家からP地点まで歩いた時間は\((900-x)\)mと表せる。
Aさんの家から学校までにかかった時間が11分なので
\[\frac{900-x}{60}+\frac{x}{100}=11\]
これを解いて
\[x=600\]
よって、P地点から学校まで歩いた道のりは600m
- 【考え方】
-
何を文字でおいても、速さの問題で出てくる要素は次の3つです。
- 1あたり:速さ(分速)
- 基準の数:時間(分)
- 結果の数:道のり(m)
- 何を文字\(x\)でおくか決める
-
道のりを求めるように指示されているので、道のりを\(x\)mとおきます。
- 文章中から「等しい関係」を見つける
-
文章中で「等しい関係」がある箇所は
- Aさんの家から学校まで900m(道のりの関係)
- 歩いた時間と走った時間の合計は11分(時間の関係)
の2つです。
「道のり」を\(x\)で置いてあるため、今回は「時間」の関係を使って式を組み立てます。
- 「等しい関係」を等号を使って書き下す
-
家からP地点までの時間とP地点から学校までの時間を合計すると家から学校までの時間になるので、等号を使って文章を書き下すと
\[\text{(家からP地点までの時間) + (P地点から学校までの時間) = (家から学校までの時間)}\]
という式が作れます。
- 条件を整理して、必要な情報を文字や数で表す
-
時間は、\(\displaystyle \frac{\text{(道のり)} }{ \text{(速さ)}}\)で表されます。
P地点から学校までは、速さが分速100mで、道のりが\(x\)mです。
よって、P地点から学校までの時間は\(\displaystyle \frac{x}{100}\)分と表せます。家からP地点までは、分速60mで歩いています。
歩いた道のりはわかりませんが、P地点から学校までの道のりが\(x\)mと、家から学校までの道のりが900mという情報から、時間を文字でおいたときと同様に考えると\[(900-x)m\]
とおくことができます。
歩いた時間は、走った時間と同じように\(\displaystyle \frac{900-x}{60}\)分と表せます。
この文章題の登場人物である、「速さ」「時間」「道のり」を左に、上に「家→P地点」「P地点→学校」「家→学校」をとった表を書いてまとめます。
スクロールできます登場人物 家→P地点 P地点→学校 家→学校 速さ 分速\(60\)m 分速\(100\)m 時間 \(\displaystyle \frac{900-x}{60}\)分 \(\displaystyle \frac{x}{100}\)分 \(11\)分 道のり \((900-x)\)m \(x\)m \(900\)m - 整理した条件と「等しい関係」を使って等式を組み立てる
-
\[\text{(家からP地点までの時間) + (P地点から学校までの時間) = (家から学校までの時間)}\]
の式に、整理した条件を当てはめて
\[\frac{900-x}{60}+\frac{x}{100}=11\]
という等式がつくれます。
一次方程式の速さの問題では「時間」と「道のり」どちらを\(x\)にすべき?
どちらでも選べるなら時間を\(x\)で置いた方が計算が楽
ただし、絶対のルールというほどではなく、次の2点には注意点が必要
- 答えを出すよう指示されたものと違うものをおいたときは、最終の答えは必ずチェックする
- 問題文の指示で道のりを\(x\)におくよう指示されることもあるので、どちらも考えられるようにしておく
ここからは、なぜ時間を\(x\)で置いた方が計算が楽なのか、等式のつくりかたから解説していきます。
文章題では\(x\)でおいたものと違うものについての等式をつくることが多い
一次方程式では、問題文の情報を1つの式に盛り込むために、文字でおいたものと違うものについての等式をつくることがほとんどです。
そのため、速さの文章題では、
- 「時間」を\(x\)でおいて「道のり」が等しいという等式をつくる
- 「道のり」を\(x\)でおいて「時間」が等しいという等式をつくる
のどちらかで等式をつくることが多いです。
なぜ時間を\(x\)とおいたほうが計算が楽なのか
ここで、速さの公式を思い出してほしいのですが、道のりを求めるときは「速さ」と「時間」のかけ算で求められますが、時間は「道のり」と「速さ」の割り算で、文字を使って表すとほとんどの場合、分数になってしまいます。
そのため、「道のり」を文字でおくと、「時間」の等式をつくることになり、等式の中に分数が混じることになり、計算が手間になってしまいます。
これが、一般的に「文字は時間でおきましょう」と説明される理由です。
文字のおき方を工夫する上での注意点
文字のおき方を工夫する上で、2つほど注意してほしいことがあります。
1つは、道のりを求めるよう指示されたときに、答えに\(x\)の値をそのまま書かないことです。
当然ですが、時間を\(x\)とおいたら、出てくる\(x\)は時間を表しています。
そのため、最後に自分が何を文字で置いたか、問題文で求めるよう言われたものが何かのチェックは必須になります。
もう1つは、「道のりを\(x\)mとおいて式を立てなさい」のように、文字を道のりでおくように指定が入ることがあるということです。
確かに、分数は扱いに注意が必要ではありますが、「分数の方程式を計算できる」というのは、この単元で達成すべき学習レベルで、「必ず避けなければいけない」というほどのものではありません。
そのため、何でもかんでも「速さの方程式は時間を文字でおく」と決め打ちするのではなく、あくまで「どちらでも選べるなら時間の方が楽」ぐらいの気持ちで思っておいて、「時間」についての式での解き方も理解しておいてください。
\(x\)の置き方が工夫できる速さの文章題のまとめ
今回の内容をまとめると、次の通りです。
- 速さの文章題では、次の2通りの式のつくり方が多い
- 「時間」を\(x\)でおいて「道のり」が等しいという等式をつくる
- 「道のり」を\(x\)でおいて「時間」が等しいという等式をつくる
- 速さの文章題では、時間を\(x\)とおくと分数が出ないので計算は楽
- 絶対のルールではなく「知っていれば得」ぐらいのイメージ
- 道のりを\(x\)でおくよう指示がある問題もある
- 求めるよう指示されたものと違うものをおいたときは、最終の答えは必ずチェックする



今回の記事はここまでです。
「必ず時間を\(x\)でおく」と覚えるのではなく、「状況に応じて使い分けられる」という状態を目指してください。
「時間でおく→道のりの等式」「道のりでおく→時間の等式」という感覚がつかめれば、使い分けもスムーズになってきますよ。
速さの文章題のまとめに戻る方はこちら
👉方程式の速さの文章題まとめ|基本から応用パターンまで完全解説【中1数学】


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